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ワイナリー訪問記-フランス出張編 2025 冬-@輸入部門 升田

ワイナリー訪問記-フランス出張編 2025 冬-@輸入部門 升田

2025.11.24

今回のブログの担当者

皆さま、こんにちは!!ブログでお馴染み升田でございます気がつけば「あっ」という間に年末が近づいてきました。今年は例年以上に、時間の流れの早さを実感しています…そんな慌ただしい時期ではありますが、11月上旬にフランスへ出張に行かせていただきました!!今回は、その時の様子をブログを通して皆さまに共有したいと思います。今回は新規取引先との商談がメインでしたので、一部を取り上げてご紹介させていただきます。それでは、いざフランスへ♪

今回の拠点も、前回と同じくボーヌ。実働5日間で、合計18社の生産者やエージェントの皆さまと商談を行いました。訪問先は、ブルゴーニュの中でも南部に位置するコート・ド・ボーヌやコート・シャロネーズが中心。11月のブルゴーニュは一年の中でも降水量が多く、雨や曇りの日が続く時期のはずなのですが…幸運なことに、滞在していた5日間は見事な晴天に恵まれました♪

現地の方からも「この時期にここまで晴れ間が続くのは珍しい」と言われるほどで、天気と同じく、私の気持ちも晴れやかに過ごすことができました!!そんな上機嫌で訪れた最初のワイナリーは…

世界が注目!!ドメーヌ・ピエール・ヴァンサン

このドメーメは2023年に新しく立ち上がった造り手で、拠点はコート・ド・ボーヌのオーセイ=デュレスにあります。ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレやドメーヌ・ルフレーヴで総支配人を務めた実力派で、近年ブルゴーニュで最も注目されている醸造家の一人です。

ドメーヌ・テール・ド・ヴェルを友人と共に購入し、自らの名を冠してドメーヌをスタート。コート・ド・ボーヌに広がる7haの畑は7人で管理を行い、マサル・セレクションによる古木(平均樹齢60年)とビオディナミ栽培を実践しています。

試飲もさせていただきました♪特徴としては…ブドウそのもののエネルギーに満ちたピュアなテロワールの表現を重視したスタイルのように感じました。香り、テクスチャー、余韻に至るまで、一本のワインとしてのブドウの純度と活力が際立っており、個人的には大変魅了されたワインとなりました。

決してお安くはございませんが、1stヴィンテージと今後の値上がりも考慮すると、今買っておくべきワインと言えるのではないでしょうか…

ボジョレー・ヌーヴォーだけではないボジョレーワインの魅力

ゴブレ仕立ての古木

次にご紹介したいのは、時期的にも注目を集め自然派ワインとしても人気の生産地ボジョレーから、信濃屋が自社輸入を行っている「レ・スリアン(マキシム)・トロンシー」に訪れました♪

このドメーヌは2013年に若手醸造家マキシム・トロンシーが独立して始まり、2019年にビオ転換を開始。2020年から義兄のダミアンが醸造に加わり、2021年に現在のドメーヌ名「レ・スリアン」として新体制が整いました。2022年ヴィンテージからは正式に「ECOCERT 認証」を取得しています。

まずテロワールですが、コニーやドゥニセ、シャシニョールといった複数区画をもち、硬質石灰岩・石灰岩由来の粘土・シレックス混じり土壌など、ボジョレーの中でもミネラルが強く表れる多様な土壌が特徴です。標高300m、樹齢55〜100年の古樹が多く、収量は20〜30hl/haと非常に低く抑えられています。そのため、果実味だけでなく緊張感とミネラルのキレが共存するスタイルで、昔のボジョレーをとは一線を画す「今のボジョレースタイル」と言ってもよいでしょう♪ちなみに…お父様は昔ながらのボジョレーワインを今でも醸造しております!!

現地ではピエール・ドレから作られた建物がズラリと並び、ボーヌなどとは街並みの風景も異なる点が興味深かったです♪※ピエール・ドレとは… 石灰岩(ジュラ紀)に由来する石灰質・粘土石灰質土壌であり、最大の特徴は石灰質土壌が豊富な点です。ミネラル成分が多く「ドレ=黄金」の名の通り、乾燥して建物は黄土色の外観のため、夕日が当たるとまさに「黄金の町」のような荘厳さを放ちます。

ちなみに2025年のボジョレーの作柄は、春先の不安定な気候と地域ごとの病害・雹害などの影響を受けつつも、総じて健全でポテンシャルの高い年と期待されています。

伝統と革新「ドメーヌ・シャンソン」

1750年創業という歴史を持つ、ボーヌ拠点の名門メゾンです。ボーヌ中心部にある15世紀の城塞バスティオンをセラーとして使っており、伝統と格式が強く根付いています。このドメーヌは、およそ88haの自社畑を所有しております。東京ドームおよそ19個分!!

バスティオンの内部では、歴史に触れる貴重な体験をさせていただきました。15世紀に建てられたその建物に実際に入り、壁や床に触れられる機会など、そうそう得られる体験ではありません…

内部には当時の面影がしっかり残っており、移動手段として馬が使われていた時代ならではの痕跡も見ることができました。例えば、入り口には馬用の水飲み場があり、床は馬が滑らないよう凸凹とした造りになっていました。文章では伝えきれないほどの歴史を五感で見て・触れて・体感することができました。

さらにバスティオン内部には、かつて要塞として使われていたことを感じさせる水道設備(現在は樽を運ぶエレベーターとして利用)が残されており、当時の姿と現在の熟成庫としての機能が重なり合う独特の空気が漂っています。樽が並ぶ光景を眺めながら、かつての要塞の雰囲気と、今のワイナリーとしての姿を行き来するような不思議な感覚を楽しむひとときとなりました♪

写真にある最近はやりのガラス玉での熟成も興味深い発見です。ガラスはワインに全く香りや風味を移さない素材です。樽のようにバニラ・ロースト香が付かない。ステンレスのような金属的ニュアンスが出ない。こういったワインを造りだすことができます。また外観の利点として、ワインの変化が目視できるため、管理しやすい点も挙げられます。つまり…

➡ ブドウ本来の香り・果実味・テロワールをそのまま表現できる!!

➡ より精密な管理が可能で、失敗リスクが減るというメリットが得られる!!

伝統の中にも革新を持って取り組んでいるからこそ、今のシャンソンのスタイルが確立されていることを感じることができました♪

将来、信濃屋で輸入開始…??気になる現地の生産者

まだ日本未入荷ですが、今回の訪問で特に個人的に印象に残った生産者をちょこっとだけご紹介!!今後、信濃屋が入荷するかも…

まずは、コート・シャロネーズ地方、シャミリー地区に位置する伝統あるドメーヌへの訪問もさせていただきました。

  • シャトー・ド・シャミリー (Château de Chamilly)

テロワール面では、粘土と石灰質が混じった土壌を持ち、丘陵地帯ならではの微気候がワインに個性を与えています。白品種(シャルドネやアリゴテ)はフードルやオーク樽で発酵・熟成されます。一方、赤 (ピノ・ノワール) はコンクリートタンクで発酵後、樽熟成を行い、しっかりとした構造を持たせています。

モノポール(単独所有畑)も所有しており「クロ・ラ・ペリエール」。「ペリエール(石切り場)」の名前の通り味わいとしては、透明感とミネラル、果実のやさしさが調和した上品なスタイルでした。更には、マールやクレマン、ビールも醸造しており探求心とセンスを感じるとても魅力的な生産者に出会わせていただきました♪

  • ドメーヌ・ルイ・ルカン(Louis Lequin & Fils)

ルカン家は17世紀から続く生産者で、現在はドミニク・ルカンがドメーヌを率いています。本拠地の サントネ は、粘土石灰質土壌を中心に、多様な地質が入り組む村で、特にルカン家はサントネの中でも優れた丘陵斜面に畑を多く持っています。またグラン・クリュ「コルトン・シャルルマーニュ」や「バタール・モンラッシェ」も所有している点も魅力的です!!

ついに自社輸入でもグラン・クリュを取り扱える日が来るのか…そんな期待に胸が躍りました!!歴史やテロワール・クラフトマンシップを兼ね備えたドメーヌとしての品格を体感できる訪問時間をいただきました。

お勧めのレストラン

現地では、ユーロ高に思わず目が飛び出そうになりましたが…(笑)それでもしっかりとフランスの食文化を堪能してまいりました♪せっかくなので、ボーヌへワイン旅行に行かれる方にぜひおすすめしたいレストランをご紹介します!!

  • La Lune(ラ・リュンヌ)

日本人のオーナーシェフが営む、日本の居酒屋とフランスのビストロを融合させた、ボーヌでも指折りの人気店です。現地でも「予約が取れないレストラン」として知られており、信濃屋出張でも毎回訪れるたびに癒しと楽しみ、そして満足感を与えていただいているお店です!!

メニューには、日本人にはおなじみの「からあげ」「コロッケ」などの居酒屋料理が並び、フランス人のお客様にも大人気♪一方で、写真のような鳩料理やジビエなど、クラシックなフレンチビストロらしい一皿も楽しめます。日本的な「ほっ…」とする味と、フランスを堪能できる料理が同時に味わえる、唯一無二のお店です。ワインツーリズムはもちろん、フランス旅行で訪れる方々にもお勧めのお店です♪

  • PREMNORD(プレムノルト)

プリューレ・ロックが経営する、ワイン好きにはたまらない話題のレストランをご紹介♪以前は「ビストロック」として経営しておりましたが2021年に閉店し、2023年に満を持してオープンしたプリューレ・ロック直営のレストランが「Premnord(プレムノルト)」。ワインラヴァーなら、一度はその名を耳にしたことがあるのではないでしょうか…

店内では、プリューレ・ロックをはじめとした造り手のワインがグラスで楽しめる他、ワインセラーには国内外問わず様々なワインが取り扱われており、ここでしか味わえない特別な一本に出会えることも…

料理は素材の魅力を最大限に引き出しており、ワインとの相性が抜群!!ゆったりとした空気が流れる店内では、目の前に「クロ・デ・ザルジリエール」が見ることができ、料理と空間が調和する時間を満喫できます♪ボーヌを訪れるワインラヴァーの方には、ぜひ足を運んでいただきたいレストランです。

2017年の輸入が最後でその後は、現地でのみ使用される「ロゼワイン」も飲ませていただきました♪今後、生産状況次第ではまた日本でお目にかかることもできるかも…

さいごに…

今回のフランス出張でも、多くの学びと気づき、そして新たな出会いに恵まれました!!短い滞在期間ではありましたが、ワインの世界の奥深さと魅力を実感する時間となりました。

何より、現地で温かく迎えてくださり、時間を割いて案内してくださったエージェントの皆さま、そして忙しい中で丁寧に対応してくださった生産者の方々に、心より感謝申し上げます。

皆さまの情熱に触れるたび「より良い形で日本のお客様に届けたい!!」という思いが強くなります。この出張で得た経験を、今後の取り扱いワインや情報発信にしっかり活かしてまいります。フランスでいただいた温度感を忘れずに、これからもワインの魅力、そして自信を持って自社輸入のワインを発信していきたいと思います!!

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