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古酒のススメ@武蔵小山店 遠藤

2022.10.26

今回のブログ担当者は…?

こんにちは。武蔵小山店に勤務している遠藤です今回のテーマは古酒について。古酒をお求めになっていらっしゃる方の多くは生まれ年のヴィンテージ、記念日のヴィンテージからご来店される方が多い気がしています。しかし、古酒を趣味としている私としましては、古酒特有の熟成の浪漫やそのボトルとの一期一会の出会いの愉しさなども多少お伝えできればと思っています。

古酒について

日本の各地、都内近郊のワインバーやワインショップを色々巡るなどして古酒愛好家や古くからのワイン通に古酒についてお話をお伺いしてきた中で得た言葉と、私自身の経験値から総じて出てきた言葉がありました。それはワインとは『人のようだ』ということでした。

古酒になっていく過程、熟成において重要なことはどのようなワインであるか、どのような環境で熟成されて、どのように取り扱われて、どのように手元に届きそのコルクは開けられるのかということ。まさに人の成長のようです。

古酒といってもどれくらいのヴィンテージから古酒と言われるのでしょうか。特に定義のようなものはないように思えます。古酒愛好家で『古酒巡礼』『古酒礼賛』などの著作を持つ秋津壽翁先生は40年前から戦前を「古酒」戦前のワインを「大古酒」19世紀のワインを「博物館古酒」と考えているとのことです。

一般的なピークアウトを超え得る年代に入っても、古酒愛好家たちは浪漫を求めて古酒を飲みます。しかし、そこまでの年代を求めなくても数年、数十年の熟成によって十分に愉しむことができます。これは私、個人の矮小な経験的観測によりますが、健全な熟成を経たワインの熟成感としては以下の通りです。ただヴィンテージや生産者によってワインの性格が大きく異なることも注意。ワインは、武蔵小山店でも取り扱いのある古酒、ブルゴーニュやボルドーを想定。

外観の変化
  • 10年経過

力強かった果実味や尖っていた酸味は柔らかく、タンニンは丸くなり一体感が出て来きます。熟れた感。

  • 20年経過

熟成特有の香りが出始めます。白にはメイラード反応による香ばしさなど。赤では紅茶や腐葉土のような香り。

  • 30年経過

色調も落ちていき、ワインによっては滓も溜まる。コルクの限界が来始める年代。より熟成香が出てきます。

  • 50年以上経過

構造がやや壊れ始め偉大なワイン、優れたワインでなければ作品の特徴を見出しにくくなります。果実味は減退し、抜栓からワインの変化が早くなることが多いです。

  • 100年以上経過

6本ほどしか経験がないのでなんとも言えないところですが、状態に左右されることでしょう。100年経過の記念や19世紀のワインが極稀に出回ることがあります。

果実味はより小さく、消えてしまいそうになるのですが、その淡さ、儚さの中に偉大なワインの中には特徴が繊細に感じ取ることができます。熟成感とワインの特徴はすでに一体になっており、繊細で複雑、余韻も長く、短い時間で多彩な変化を見せていきます。さながら朽ちた大樹の中に強い生命力を見出した時のようなわびさびの美しさを感じさせます。

保管について

時間の経過、歴史を想うことは一言で表すなどかくも難しいように思います。優れた人生なんていかにして測れましょうか。では、ワインにとってどのような環境が理想なのでしょうか。

結論から言うと、温度変化が少ないこと(少な過ぎてもいけないという意見もあります)外的な影響からコルクの収縮が起きないことは必要条件ではあるでしょう。多湿でセラー温度であること。この温度帯はワインを扱う方々によって考えが異なっているようです。

私としては状態が最良であるならば、一番というのが考えではあります。現段階の仮説として支持するものはありますが、明言は避けておきます。仮説はアップデートしていくと思いますが、興味がある方はお気軽にお尋ねください。武蔵小山店でお待ちしております。

高温での保管などの外的要因による熱劣化や酸化劣化によるダメージが厳しいものになり得ます。長期間晒されると外見において色調に対して濁りや色の変化などが発生します。こうなると味わいとしては、果実味は死に絶え、生命感は消え失せ、ミイラのようになってしまいます。本来ありえない酢酸菌なども強く発生して、ワインとしての健全さは失われます。

流通について

国内、もしくは海外の生産者からワインが届くためには、ワインがお客様の元に届くまでにワインは旅をすることになります。ワインにとってそれがどういう旅になるかも重要な点になります。

そんなワインの旅を助ける輸送にはリーファーコンテナがあります。絶対にこれ以外だとワインはダメになるということはないのですが、劣化するリスクを大きく下げることができます。

近年、リーファーコンテナ(定温)による輸送を選ぶ輸入業者様を増えています。素晴らしい状態のワインが日本に入って来ているのです。

一般店と自社輸入の違い

ちなみに弊社の直輸入ワインは100%リーファーコンテナでの輸送です。これには多くの1,000円台で販売しているワインにも限らず対象です。信濃屋の直輸入ワインが安くても支持される理由の一つに状態の良さもあるのかもしれません。

信濃屋では、ワインは生産者から生み出され、そのままセラーで長年寝かされて『蔵出し』として直輸入なども行っています。タイミングで素晴らしい状態のバックヴィンテージが入荷することもありますので、関心のある方は是非探しにいらしてみてください。

おすすめの古酒

シャトー・デュクリュ・ボーカイユ[1986]

メドック格付け2級サン・ジュリアンのワインです。若いワインはデキャンタを数時間することをお勧めです。1986年を飲んだ時もその硬さ、35年以上熟成を経てもなお果実味の力強さ、ストラクチャーの強さに驚きを覚えました。しかし、素晴らしいのがフィネスに富んでおり、サン・ジュリアンらしさをはっきり実感できます。ブラックカラントなどの黒果実に柔らかな黒鉛、熟成の香りが混ざり多彩なスパイスのグラデーションを感じられます。

最後に…

古酒は難しいと思われている方も多いようですが、熟成したワインの面白さは、やはり若いワインにはない魅力にこそ惹かれるものがあるのだと思います。

人は生まれてから、様々な出会いや経験を経て色々な人間になるように、ワインも時間を経て、ある意味ではそのボトルにしかない時間を重ねていくように思います。そのようなワインとの一期一会を是非、試してみて頂きたいと思います。

武蔵小山店には、他にも初めての方でも親しみやすい古酒やバックヴィンテージを取り揃えております。ご要望などありましたらお気軽に仰ってください。参考文献:古酒礼賛 著者:秋津壽翁

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