
食の探求セミナー「なぜパタゴニアが食品を扱うのか?」@cask 小原
目次
今回のブログ担当者は…?
皆さま、初めまして!cask食品担当の小原です。今回は、2月22日(土)にcaskに併設されたレストラン『W』で開催された「食の探求セミナー」の様子をご紹介します。テーマは、
「なぜパタゴニアが食品を扱うのか?」
アウトドアアパレル業界を牽引してきたパタゴニアが、なぜ食品事業に取り組んでいるのか?その理由に迫る、とても興味深いセミナーでした。
食の探求セミナーについて
食の探求セミナーとは、学びと発見を通じて食べることに向き合い食の本質を知っていただく場としてスタートしたイベントです。信濃屋がその道のプロフェッショナルをお迎えしご講演いただきます。その後、講演で取り上げられた食材を使った特別なランチコースをお楽しみいただくという内容です。毎回定員50名様のお席は満席で、大変ご好評頂いております。
パタゴニアプロビジョンズ・近藤勝宏氏が語る「食」の未来
今回のセミナーでお話しいただいたのは、パタゴニアプロビジョンズ ディレクター・近藤勝宏さん。これまでパタゴニア日本支社でマーケティングを担当され、今はパタゴニアの食品事業に深く携わっている方です。

近藤さんはサーフィンやスノーボードが大好きな自然派。
自然とともに生きることを大切にしながら、環境への負担が少ない農業や暮らし方を日々実践されています。
スペシャルランチコースの紹介
セミナー当日は、テーマに沿った特別なランチコースも提供されました。五感で「食の探求」ができる貴重な体験でした。

・仁井田本家「糀甘酒」
自然米100%で作られた甘酒は、さらっとした口当たりの中にお米の自然な甘さが広がり、体にすっと染み入る一杯。思わず「おいしい!」と声が漏れるほどで、コースのスタートに期待が高まりました。

・オーロラサーモンとパタゴニアムール貝のシーフードサラダ
意外にも、ドレッシングには甘酒を使用。酸味と甘みのバランスが絶妙で、サーモンやムール貝との相性も抜群。発酵の力を感じる一皿でした。

・山菜のフリット~パタゴニアプロビジョンズアンチョビソース&八丁味噌ソース添え~
いつもは塩でいただく山菜ですが、アンチョビ&八丁味噌ソースとの組み合わせに驚き。ソースが山菜の苦味を引き立て、まさに「山・海・大地の恵みが調和した味わい」。新しい発見の連続でした。

・混ぜPasta ~パタゴニア・シェル~
・恋する豚研究所のパンチェッタ
・小林養鶏場の平飼い卵
・倉田クラタペッパー
・うま藻 など、このパスタに使われているのが、パタゴニアが世界で初めてリジェネラティブ・オーガニック認証を取得した「カーンザ」。多年草で、土壌の栄養を深くから吸収する力を持ち、地球環境に優しい作物です。もちもちの食感とパンチェッタの旨味、クラタペッパーの香りが一体となった贅沢な一皿でした。

・寺田本家「繁土」日本酒セミフレッド
コースの締めくくりは、ほんのり日本酒の香るセミフレッド。ミントと一緒にいただくと、口の中がすっきりとリフレッシュ。最後まで「食の探求」にふさわしい一品でした。
『なぜパタゴニアが食品を扱うのか?』学びと発見
「食」こそが地球を救うアクション
今回のセミナーで心に残ったのが、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード氏の言葉:
「新しいジャケットは5年に一度しか買わない人も、一日三度の食事はする。
本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは『食』からだ。」
気候変動が進む今、環境を守るためにパタゴニアが取り組んでいるのがリジェネラティブ・オーガニック農業。これは単なるオーガニックを超えた、新しい持続可能な農業のかたちです。
「リジェネラティブ・オーガニック」とは?
以下の3つを柱とした農業システムです:
- 土壌の健康
- 動物福祉
- 労働者の公平性
この認証制度は2017年に、パタゴニアを含む複数の企業や団体によって創設されました。
信濃屋として、そして私たち一人ひとりができること
信濃屋もまた、「食を考えると土にたどり着く」という想いを大切にしています。健全な土壌を構築することは、農地で健全な生態系が育まれるための基盤となります。そしてその生態系は動植物や人々を豊かにし、周辺を取り巻く自然環境やコミュニティの健やかな繫栄へと繋がります。
「リジェネラティブ・オーガニック」の考え方は、まさにその本質を体現していると感じました。
食の多様化は自由で豊富な食の選択をもたらしましたが、一方では、自国での農産物の需要と供給バランス、すなわち日本の農業にも大きな影響を与えています。一人ひとりが自国の食の魅力を再発見し、日々の食を考えていくこと。それは同時に、これまで培われてきた日本の農業の持続性を高め、さらには農業の活力を高めることへとつながるのではないでしょうか。
「食べること」は社会を変えるアクション
「食」に携わる仕事は、「人の人生を豊かにする仕事」でもあります。
私が今できることは、お客様の食卓が少しでも楽しく、豊かになるよう、売場からお手伝いすること。
それは小さな一歩かもしれませんが、
少しずつ、少しずつ——
“EATING is activism(食べることで社会を変える)” そんな未来へと、繋がっていけばと思います。
さいごに・・・
信濃屋では「食・酒の探求セミナー」を cask / W TORANOMON にて定期的に開催しています。ご案内は信濃屋コーポレートサイト内のニュース・イベント情報にてご確認いただけます。セミナー開催中、お食事と共に気になるワインをセラーから自由にお選びいただき、BYOスタイルで気軽にお楽しみいただけます。気に入ったワインはそのまま購入も可能です。当イベントは一般の方から業界の方まで、どなたでもご参加いただけますのでご興味がありましたらご予約をお願い致します。皆様のご参加を心よりお待ちしています。