Shinanoya food & liquor

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【リリース告知】MYAOI GIN inspired “JAZZ” supported by Shinanoya Exclusively bottled for NO ROOM FOR SQUARES”

2025.10.18

いつも弊社をご愛顧下さり、誠にありがとうございます。

信濃屋洋酒課より北海道 馬追蒸溜所様のご協力の下、下北沢にございます、スピークイージースタイルのジャズバー「NO ROOM FOR SQUARE」様向け”オリジナルジン”に関するご紹介です。

【下北沢 NO ROOM FOR SQUARES × 北海道馬追蒸溜所 × SHINANOYA】

がそれぞれのバックボーンやノウハウ、を総動員し、今回のバッチ限定の、『まさにャズのセッション』の様な、スモールバッチジンを作成いたしました。

今回作り上げたオリジナルジンのレシピは、ジャズの歴史的大家である、テナーサックス奏者「ファラオ・サンダース」氏の「You’ve got to have freedom」という楽曲にインスピレーションを受けたオリジナルジンになっています。

こちらのブログで、少し深く掘り下げてご紹介させていただきます。


♕ SHINANOYA PRIVATE BOTTLING ♙

*オリジナルラベルは、NO ROOM FOR SQUARES 仲田氏の知人アーティストによる、描き下ろしのデザインになります。

*ラベルに掲載されているQRコードから、NO ROOM FOR SQUARES にて録音された”NRFS” Trioの限定ライブを観ることが出来ます。


商品スペック

商品名:馬追蒸溜所 MYAOI GIN inspired “JAZZ” supported by Shinanoya Exclusively bottled for No Room For Squares”

総本数:264本限定 度数:50.0%(US 100 proof)

店頭販売価格:5,000円(税込5,500円)

2025年9月26日(金)以降、信濃屋各実店舗 & オンラインショップ 商品発売開始。

(下記は、世田谷代田にある弊社本店にて展開中の本ボトルの特設売り場の様子。現在取扱中です。)


商品開発までの経緯①~はじまり

下北沢の交差点から少し入った雑居ビルの4階。ヴィンテージコーラの扉の奥にひっそりとお店を構えている、「NO ROOM FOR SQUARES」のオーナー仲田氏から、実は今考えている面白いアイデアがあるので、一度話を聞いてもらえないだろうかというお話を頂いたのは、2025年1月ごろくらいの話でした。

弊社信濃屋本社から程近いこともあり、早速お店に向かいお話しを伺うと、

お店での提供頻度が高く、特に”ジントニック”に適した、ロンドンドライジンスタイルのオリジナルジンを開発したいので開発と販売の協力をしてほしいという切り出しから話は始まりましたが、話を聞いていくうちに仲田氏の考えていた内容はもっと壮大なものであることを知りました。

オリジナルレシピのジンといっても、通常のジンのアプローチではなく、ジャズバーらしく”ジャズの楽曲”に焦点を当てて、曲からインスピレーションを受けた印象や要素を、オリジナルジンのレシピに落とし込んで、再構築できないだろうかというものであり、ユニークでクリエイティブなアプローチを目指すものでした。

またその上で、販売の際には、お酒と現代のジャズミュージシャンとのそれぞれの懸け橋になるようなプロジェクトにしたいという想いから、このオリジナルジンの購入者だけが見ることが出来る、ジャズライブの仕掛けを盛り込み、実際にオリジナルジンを飲みながら、ジャズのライブ演奏を聴くことが出来るという着地を目指すものでした。

仲田氏の情熱的なアイデアや想いを前に、もし実現をするとしたら、それぞれのタイミング毎に直面するであろう幾つもの難しさが頭の中に浮かんできましたが、

今回のアイデアは、蒸留酒業界の中でも、まだこれまでに前例の少ないアプローチであり、音楽との共同企画であり、私はクリエイティブさとプロジェクトの面白さを感じ、とりあえずやってみますと引き受けることにし、本プロジェクトは始まりました。


商品開発までの経緯②~楽曲の選定

今回のオリジナルジンプロジェクト第一弾として、どの楽曲を選定するのか、仲田氏と選定を行いました。仲田氏がNO ROOM FOR SQUARES にて所有しているレコードを聴かせてもらいながら、その後、何度もお店に足を運ぶことになるのですが、楽曲の選定は初日の話し合いの流れからその場で決まりました。

アート・ブレイキーやリー・モーガン、ビル・エヴァンス等といった僕でも知っている、ジャズのアーティストの楽曲になるのかと思いきや、仲田氏の提案する候補曲は、クラシックなものからモダンなプレイヤーの楽曲までさまざまで、そのほとんどが私の聴いたことのないレコードでしたが、知らない世界やジャズの歴史、審美眼に魅せられ、非常にエキサイティングな時間でした。

その中で、仲田氏が是非この楽曲でやりたい。と示してくれたのが、

今回のオリジナルレシピの源泉となった、ファラオ・サンダースの「You’ve got to have freedom」でした。その時仲田氏がかけてくれたレコードは、ファラオ・サンダース氏の“LIVE”でした。

私はその時初めて、「You’ve got to have freedom」を聴きましたが、人を芯から突き動かすような、焦燥感にも似た駆り立てるような、物凄い扇動的なエナジーと興奮、高揚感。

数本の糸が張り詰めて、その上で綱渡りをしているような緊張感とスリリングな雰囲気を感じ、衝撃を受けました。

(下の写真は、実際にその時、No Room For Squaresで聴かせてもらった、ファラオ・サンダース氏のLIVEのレコードジャケット。)

「You’ve got to have freedom」は、ジャズの名曲ですがこの曲は、奴隷制廃止後、グレートマイグレーションで都会に進出し、公民権運動を経て制度的平等を得た黒人達の魂の解放、生き抜く力としての自由を謳い、1980年当時もそして今もなお続く差別との闘いの象徴とされた楽曲だそうです。

仲田氏によると、この『LIVE』に関しては、特に素晴らしい出来映えで、ファラオ・サンダースという中心的リーダーのもとに、各界で知られる技術の高いプレイヤーたちが集まり、始まりの”一音だけ”を定めたら、それ以外は即興で演奏しているそうです。

もう少しで散らばりそうになるくらいに踏み込む危うさが緊張感と興奮を生み出し、バランスが行き過ぎると、中心的存在のファラオ・サンダースが引き戻す動きを見せ、各プレイヤーはファラオ・サンダースの起こりを察して、尊重の上でまた最初に戻る、その連続がこの曲の中でずっと起こっているのだそうです。

仲田氏の解説を聞きながら、オリジナルジンに置き換えて考えていた時、今回の楽曲においては、皆が共有するある”一音あたるのが、”ジンがジンでたりうる、唯一の要素であり単一のボタニカルである、ジュニパーベリーだろう”と感じました。私もこの楽曲が第一弾のテーマに相応しいと思いました。


商品開発までの経緯③~蒸溜家との邂逅と再構築。

仲田氏の情熱と良質な音楽の余韻の中、作りたいもののコンセプト、題材となる楽曲は決まったものの、今回の企画を実際に蒸溜し、実現できる蒸溜家について考えながら月日が経っていきました。

コンセプショナルなアイデアを共有して、理解を得たうえで、現実的に満足のいくレベルに再構築していくのはとても難しいことです。

今回の企画の規模感や特性を考えると、おそらく試作の数、香味の調整が多くなりそうな企画だったので、それほど大きなロットの製造所ではない小規模な生産者であり、

楽曲に基づいた要素を洗い出したのち、様々な香味を再構築することを考えると、ボタニカルを一度の蒸溜で仕込むスタイルよりも、素材ごとに細かく蒸留したり、その後各エッセンスをブレンド、もしくは再蒸留して完成形に持っていくスタイル、生産設備を持っている蒸溜家が望ましいだろうと感じていました。

とはいえ、今回の企画主旨は蒸溜家の立場から考えると、試作に費やす時間や原料コストは勿論、通常品の生産スケジュールとのバランス等、面倒な部分が多く、また採算性も多少犠牲になるかもしれない可能性を秘めたプロジェクトです。

それゆえに、今回の企画自体に楽しみを感じながら、取り組んでくださるような蒸溜家の方との関係性が必要になるであろうなと感じていました。

本来、我々が店頭で扱っている世界各国の定番品のジンのレシピ、特にロンドンドライジンスタイルは、蒸溜家の方々がそれぞれに作りたいイメージの吟味、実践、ボタニカル毎のバランスや、抽出方法、ボタニカルの状態がフレッシュであるかドライであるか、どこの産地/生産者であるべきか等、様々な可能性を試しながら、試作を重ね、多大なコストや時間をかけてようやく出来上がるものです。個性的かつドリンカブルという相反する要素の両立の難しさがあります。

そうして悩んでいる時、2025年4月神戸のウイスキーイベントの打ち上げ会場で、たまたま馬追蒸溜所の村田 哲太郎 社長と同じテーブルでお話する機会があり、

今回のオリジナルジンのご相談をしたところ、非常に面白そうだと興味を持っていただき、是非やってみましょう、前向きに引き受けて下さいました。この村田社長の一声がきっかけで、大きな懸念であった蒸溜家に出逢うことが出来、非常に大きな前進になりました。

それから程なくして、村田社長と仲田氏、私の三名で、「NO ROOM FOR SQUARES」に集まり、企画のディテールのすり合わせを行い、ファラオ・サンダース「You’ve got to have freedom」を三人で聴きました。

(下記はその時の写真。正面左:No Room For Squares仲田氏、中央:弊社信濃屋秋本、正面右:馬追蒸溜所 村田社長)

村田社長が加わって、我々三人がファラオ・サンダース「You’ve got to have freedom」の楽曲から感じた要素を互いに話し合いながら、下記の四つの要素にまとめました。

  • 自由への渇望を駆り立てるような強烈で扇情的なエナジー、高揚感。
  • 温かみのある果実感、強い太陽の日差し
  • 鮮烈でスパイキーなスパイシーさ
  • フレーバーの多層的なゆらぎ

この4つの要素を、今回のオリジナルジンのレシピづくりの核とした上で、いよいよ本格的にボタニカル選定とオリジナルジンの試作を重ねていくことになります。


ボタニカルについて。

仲田氏からの当初の要望であった、「ロンドンドライジン」であることはしっかりと感じられるものであること、ジントニックやソニックスタイルでの提供を想定して、しっかり割っても美味しいものであることを中心に考えながら、

楽曲「You’ve got to have freedom」の曲から受けたインスピレーションの要素をいかにジンのレシピとして成立させていくかがこの企画ボトルの根幹であり最大の課題でありました。

コンセプトに固執しすぎて仕上がりが基本の“ロンドンドライジン”の型から離れすぎないように注意を払いながら、一方で何度も曲を聞きつつ、それぞれが今回のオリジナルレシピに相応しいボタニカルであるか、もっと楽曲らしさに近づける為に相応しいボタニカル、加工方法はないかと、

馬追蒸溜所村田社長と仲田様と三人で、出来る限りの中での”ベスト”なレシピにするべく、アイデアのブレインストーミング、試作品の試飲を重ねました。それは大変でありながらも、夢中になれる楽しい作業でした。

ご多忙の中、驚異的なフットワークの軽さと円滑な報連相、全てにスピード感をもって対応下さった、村田社長をはじめ、アイデアの実現の為、原料の確保から幾度にも及ぶ試作、惜しみなく真剣に柔軟にご協力頂きました、馬追蒸溜所の皆様には本当に感謝申し上げます。

今回のレシピは綺麗なだけでないダーティーさを作っている点が個人的にも面白いと感じていますが、これは、最初の試作品を試している時に出てきた仲田様も村田社長からのアイデアによるものです。

お二人は以前ニューヨークでの在住経験のある方々で、滞在当時のジャズを取り巻く、ニューヨークの空気感や想い出を語りながら、労働者の汗っぽさ、南部から都会に移ってきた労働者特有の匂いを付け加えたらより、この曲らしさが出るのではないかという発想からのものです。


結果使用させて頂いたボタニカルは下記です。

・インド産ジュニパーベリー

…基本となるジュニパーベリーに関して。高品質で知られているマケドニア産のジュニパーベリー等いくつかの産地があるジュニパーベリーですが、今回は試作を重ねる中で、インド産のジュニパーベリーを採用しました。清涼感はしっかりとありながらも、よりじっとりとしたオイリーさ、ずっしりとした湿り気を帯びた雰囲気の仕上がりになります。

・牛脂(ラード)

…先のアイデア会議で出たアイデアです。今回のレシピで非常に良く出ている要素で、このジンのオリジナリティーさを確保しています。ジュニパーベリーとは違う質感のオイリーさを与えていますし、アロマの面でも、どこか油膜感のあるアロマをもたらしています。使いこんだ皮のグローブや革ジャンのような香りにも感じられます。

・クミン

・カルダモン

…スパイシーさや汗っぽいアロマ。ジンにおいてはドライボタニカルの一つとして、世界中のロンドンドライジンスタイルのジンにも度々使用されることのあるボタニカルですが、今回のレシピでは骨格や余韻づくりにも影響を与えています。

・ヒッコリー

…アメリカが一大産地のナッツです。アーモンドでも、クルミでもなく、ヒッコリーならではの軽さや甘みがあります。村田社長から提案のあったボタニカルです。温かみのあるロースティな甘さ、ナッツ由来のオイリーさ、口当たりや味わいの奥行や味わい深さに貢献しています。

・オレンジジュース

…当初、「温かみのある果実感、強い太陽の日差し」のイメージを具現化するのに、オレンジ自体を使おうとしたのですが、果実のオレンジを使ってしまうと、オレンジピールのアロマティックな香気油分が全体に与える印象が強すぎるということ、また、想定しているライムを搾ったジントニックスタイルにした際、ライムとオレンジがぶつかって全体として曖昧な仕上がりになってしまうのではないかという懸念が上がりました。かといってファラオ・サンダースの楽曲の要素としては、オレンジの要素は入れたい。

そこで、オレンジジュースを加えたらよいのではないかということで、オレンジの横顔がプリントしているとあるオレンジジュースを今回使用しています。

それほど強くは感じないバランスになっていますが、オレンジジュースの柑橘感がジン全体のトーンの明るさを演出し、陰で支えてくれています。

・ピンクペッパー

…パッと明るさを供給してくれるアロマティックなペッパーです。楽曲の要素である鮮烈なエナジー、明日への希望を表現する為に使用。その試みは大いに成功しました。

・ホップ

・ナツメグ

…ホップやナツメグは、暮らしの苦しさ、悲哀、悲しみのトーンを支えるボタニカルとして。全体イメージは明るくエネルギッシュなジンですが、明るさの裏にある苦しい境遇というものがこの楽曲のエナジーを支える精神性を表現しています。

・ホワイトペッパー

・ブラックペッパー

…スパイキーなスパイシーさ、反骨精神、を表現する為に採用しています。

スピリッツベースや余韻を支えながらも、引き締めてくれるホワイトペッパー、スパイキーさなスパイス感と余韻をエンチャントしてくれるブラックペッパー。引き立てるのに使っています。

先述のピンクペッパーと合わせて、今回のレシピでは三種類の”胡椒を使用しています。


テイスティングコメントや飲み方

おすすめの飲み方は、ジントニックがお勧めです。

氷を入れたタンブラーグラスに、ジンを45mlとライムをひと搾り。

トニックウォーターでアップしてください。ジンとトニックウォーターを冷やしておくとより一層美味しく召し上がれます。ソーダスタイルでも、トニックウォーターと半々のソニックスタイルでも美味しいです。

また、ストレートでも美味しく飲んでいただけます。


NO ROOM FOR SQUARES

NO ROOM FOR SQUARES

“本格的なJazzのレコード” ”最良を求めたカクテル” ”禁酒法時代を体感できる最高のMood”

その全てが交差した新しいスタイルのJazz Bar。秘密の扉を開けて、最高の時間をお楽しみください。

NO ROOM FOR SQUARES(ノー ルーム フォー スクエア)
住所 東京都世田谷区北沢2-1-7 ハウジング北沢ビルII 4F
営業時間 平日 14:00~26:00、土曜 Cafe/14:00~17:00 Live/ 19:00~23:00 Bar/23:00~26:00、日曜 14:00~24:00
定休日 不定休
電話番号 03–6450-7371
オフィシャルサイト http://www.nrfsbar.com


馬追蒸溜所について

馬追蒸溜所は2022年にリニューアルオープンした、北海道長沼町に所在する醸造・蒸溜所。
2006年にワイナリーとして創業し、現在はブランデー、ウイスキー、ジンなどの蒸溜酒も製造。

ブランドは「菜根荘ワイン」「自由の丘ワイン」、そして新ブランドの「MAOI」「Metamorphosis」「MYAOI Gin」。SNS運用に長けており、全国各地のウイスキーイベントでも現在大人気の生産者。

公式HP: https://maoidistillery.com/

MAOI株式会社代表取締役社長 村田 哲太郎氏

外資系企業勤務を経て飲食店経営事業や全国各地の古民家再生に携わる。一方、国税庁の日本産酒類ブランド化検討会の専門委員などの経験から日本酒の海外輸出や海外のマーケティング業務なども行ってきた。酒蔵の再生事業や経営に携わった事をきっかけに馬追蒸溜所の代表取締役社長として今に至る。


信濃屋洋酒課バイヤープロフィール

株式会社 信濃屋食品 営業本部洋酒課課長 兼 チーフスピリッツバイヤー

東京都出身。20代でウイスキーの魅力に目覚め、学生時代から都内のBARやウイスキーのイベントに通う。ベンチャーウイスキー秩父蒸留所での見学がきっかけで、本格的にウイスキーを仕事にすることを決断し、㈱信濃屋食品2014年社員入社。店頭での販売員としての勤務を経て、2017年より商品開発を担当するスピリッツバイイングチームの一員として勤務。2019年現職スピリッツバイヤーになり、信濃屋プライベートボトルを中心とした商品開発を担当。十勝酒造㈱執行役員として、2025年稼働予定 十勝蒸溜所のプロジェクトに携わる。

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