
食の探求セミナー「まるや八丁味噌」@cask 杉本
今回のブログ担当者は…?
はじめまして!caskの杉本です。1月25日にcask併設レストラン「W」にて開催された食の探求セミナー『岡崎テロワール 木桶と石で仕上げる魔法の八丁味噌󠄀』に参加させていただきました。
まるや八丁味噌は、醸造業の創業 延元二年(1337年)という驚くべき歴史を持ち、江戸時代から現在に至るまで、岡崎市八丁町で八丁味噌を造り続けています。まさに、岡崎市の「テロワール(風土)」を体現する存在です。あの徳川家康も好んで八丁味噌を食べていたといわれています。伝統の技と味が織りなす世界を、セミナーとコース料理を通じて体験し、その衝撃的なひとときを皆さまにお伝えできればと思います。
食の探求セミナーについて
食の探求セミナーとは、学びと発見を通じて食べることに向き合い食の本質を知っていただく場としてスタートしたイベントです。信濃屋がその道のプロフェッショナルをお迎えしご講演いただきます。その後、講演で取り上げられた食材を使った特別なランチコースをお楽しみいただくという内容です。毎回定員50名様のお席は満席で、大変ご好評頂いております。
浅井 信太郎氏について
セミナー講師として八丁味噌の魅力を語ってくださったのは、株式会社まるや八丁味噌 代表取締役の浅井信太郎氏。

伝統を守りながらも挑戦を続ける浅井氏は、ドイツ留学時代の出会いをきっかけに「有機」の魅力に目覚め、1980年代、まだ「有機」という言葉が一般的ではなかった時代から、有機栽培の大豆を使用した八丁味噌造りを開始。現在では国内のみならず、海外にもその味を発信し続けています。
また、浅井氏のフットワークの軽さにも驚かされました。セミナー前日には別の仕事で東京にいらしていましたが、一度岡崎市へ戻り、セミナー当日に再び東京へ。
ひとりでも多くのお客様に八丁味噌の魅力を伝えたい――。
その熱い情熱が、お話の随所からも伝わってきました。
まるや八丁味噌を使った料理紹介
八丁味噌と木桶仕込みの調味料、こだわりの食材を贅沢に使用したランチコース。まずは今回の料理に合わせた3種類のソースをご紹介します。

(左)バルサミコ酢+八丁味噌 バルサミコの酸味と八丁味噌のコクが共演する芳醇なソース
(中)八丁味噌パウダー じっくりと乾燥させた八丁味噌のパウダーは香ばしさと濃厚な旨味が際立ちます
(右)赤ワイン+弓削多醤油+八丁味噌 フルーティな赤ワインに弓削多醤油と八丁味噌の旨味とコクが絡み合い、上質なステーキソースのような仕上がりに。


2. Appetizer — さつま黒酢鰤のカルパッチョ 〜八丁味噌と人参・りんごのヴィネグレット〜


豚バラ肉のポルケッタ


- 1. Welcome Drink — シップ コンブチャ ユズ
caskでも販売している植物由来の微炭酸飲料「発酵スパークリングティー」です。爽やかな柚子、華やかな紅茶の味わいを酵母の繊細な旨味が追いかけます。ドライな味わいの中にも甘み、酸味が調和し微炭酸の清涼感がまとめあげる美味しさは、様々な料理のペアリングに合うこと間違いなし!です。
- 2. Appetizer — さつま黒酢ぶりのカルパッチョ 〜八丁味噌と人参・りんごのヴィネグレット〜
口に含むとりんごの風味が広がり、黒酢ぶりの旨味が長く続きます。無投薬で育てられたさつま黒酢ぶりは、くさみが無くさわやかでしっかりとした旨味があり食感も良かったです。
- 3.Hot Appetizer —山形県 甚五右エ門芋のフリット
まずはそのまま塩だけでいただくと甚五右エ門芋のとろけるような食感と粘り気、里芋の濃厚な味が感じられます。見た目も白く美しく、こんな美味しい里芋があるのかと衝撃的でした。そこから、3種類のソースを付けるとまたがらりと味が変わり、どのソースの組み合わせでも互いを引き立てながら楽しませてくれました。
- 4. Main — 恋する豚*研究所より 豚バラ肉のポルケッタ
恋する豚*とは千葉県香取市に拠点を置く「株式会社恋する豚研究所」が展開する豚肉ブランド。豊かなハーブの香り、ソースからレモンの酸味、豚のジューシーな旨味が広がりこれまた美味しいグラデーションが楽しめる一品です。
- 5. Rice — 八丁味噌ドリア
ミートソースからは八丁味噌の美味しさを直接感じられ、Wさんのシェフこだわりのベシャメルソースも合わさり絶品でした!
- 6. Dessert — 味噌ティラミス
甘く柔らかなクリームとふわふわのスポンジに八丁味噌パウダーの香ばしさや塩気がアクセントとなり無限に味わえるデザートです。
八丁味噌の学びと発見
八丁味噌の伝統とGI保護制度 - 受け継がれる味と未来

セミナーの前日、1月24日は、「まるや八丁味噌」さん、そして切磋琢磨し合う「カクキュー」さんの2社からなる「八丁味噌協同組合」が、地理的表示(GI)保護制度*に登録された記念すべき日でもありました!
▶このマークは農林水産省のGI保護制度によるものです。(出典:農林水産省)
地理的表示(GI)保護制度*とは、 ある特定の地域で生産され、その土地ならではの特性を持つ農産物や食品を国が認め、名称を保護する制度です。これにより、「八丁味噌」という名称が適切に管理され、その伝統的な製法や品質が守られることになります。
日本のテロワールの未来に関わる重要な節目を迎えた翌日に、こうした貴重なお話を伺えたことに、特別な熱気と不思議な巡り合わせを感じました。
石積み職人の伝統の技
親方から次代の親方へと受け継がれていく石積みの職人は1人前になるのに10年もの修行を積むそうです。 3tもの重さを円錐状に積む石は二夏二冬で三層で仕込む八丁味噌に循環を起こす為、均一の力を真下に加える必要があり、微妙な力加減で味噌󠄀の上がり方が変わるというのですからまさに職人技です。
木桶について
材料は大豆と塩と水のみ。あとは職人の技と自然が育む八丁味噌造りに欠かせないのが微生物が行き来する6尺(約1.8m)もの大きさの木桶。
長期間の森林管理が必要な杉の樹や真竹を使い、製作できる職人も減っている木桶を大切に100年、150年と使用しているとのことです。
歴史を知ると、大事に使われている木桶が醸し出す味わいはより一層美味しさを感じさせます。

伝統と文化を守る事はいくつもの苦難を乗り越え今があることが伝わってきます。
こういった職人さんの努力によって未来に繋ぐ八丁味噌の美味しさがあるのだと思うと料理の味も、食品への関心もさらに深まりました。
「味噌」という言葉の響きから、私はそれ自体が主役となる料理を想像していました。
しかし今回の組み合わせは、八丁味噌の風味を活かしながらも、他の素材にコクと酸味を加え、それぞれを引き立てるというものでした。
この絶妙な調和を通じて、伝統と文化を受け継いでいくことは食の奥深さと魅力を改めて再認識させられるセミナーでした。
これからも、日々触れている商品一つひとつにある物語を探求していきながら、作り手の想いを大事に食の価値を伝えていきたいと思います。
さいごに・・・
信濃屋では「食・酒の探求セミナー」を cask / W TORANOMON にて定期的に開催しています。ご案内は信濃屋コーポレートサイト内のニュース・イベント情報にてご確認いただけます。セミナー開催中、お食事と共に気になるワインをセラーから自由にお選びいただき、BYOスタイルで気軽にお楽しみいただけます。気に入ったワインはそのまま購入も可能です。当イベントは一般の方から業界の方まで、どなたでもご参加いただけますのでご興味がありましたらご予約をお願い致します。皆様のご参加を心よりお待ちしています。