ワイパラ・ヴァレーのライジングスターBLACK Estate@ネット店 升田
こんにちは。ネット店の升田でございます梅雨の訪れを感じる季節となりました。2024年、早くも半年が過ぎ、時間の経過の早さを実感しております…間もなく暦も「夏」に変わりますが、楽しんで参りましょう♪
BLACK Estate(ブラック・エステート)とは…
年間降雨量は600ミリと少ないにも関わらず、石灰質の母岩がスポンジの役割を果たし、ブラック・エステートでは灌漑を必要としないドライファーミングを実現しています。乾燥した気候は病害の心配も少なく、ワイナリーでは有機栽培を実践しており、全てのヴィンヤードが2017年にBioGro(ニュージーランドにおけるオーガニック栽培認証)を取得しました。さらに、ビオディナミは各ヴィンヤードで実践されており、2022年にはDemeter認証も取得しました。
テイスティング銘柄
- Black Estate Home Chardonnay[2020]
ワイパラの斜面にある畑で栽培されたシャルドネを手摘み。全房のまま圧搾し、500Lと225Lのフレンチオーク樽で発酵。培養された選抜酵母ではなく、畑に自生していた酵母による自然発酵。新樽率は18%。マロラクティック発酵は100%行い、12ヶ月間樽熟成。
- Black Estate Home Pinot Noir[2016]
オミヒにあるブラック・エステート・ヴィンヤードのピノ・ノワールを手摘み。15%を全房で残し、自生酵母で発酵、10%の新樽を含むフレンチオークの小樽で12ヶ月熟成。
- Netherwood Pinot Noir[2017]
ネザーウッドでは70-100%を全房で醸造。
- Damsteep Pinot Noir[2015]
ダムスティープ・ヴィンヤードのピノ・ノワールを手摘みし、5%を全房で醸造。自生酵母による自然発酵のうえ、10%の新樽を含むフレンチオークの小樽で12ヶ月熟成。
感想
ニュージーランドと言えば…白ワインでは「ソーヴィニョン・ブラン」・赤ワインでは「ピノ・ノワール」の印象が強いと思います。確かにニュージーランドの「ソーヴィニョン・ブラン」は今日のニュージーランドの地位を確立した代名詞であることに変わりはありません。しかしながら、真にニュージーランドを理解するのであれば、細かいサブリージョン(特定地域の中で、更に小さく地域を分けた区画)に注目することが大切であると感じました。
カンタベリー地方には3つのサブリージョンが存在します。地方全域を「カンタベリー」、ワイン生産者が最も集中する「ノース・カンタベリー」、更にその中に「ワイパラ」が存在します。そのワイパラにあるブラック・エステートは3つの畑を5キロほどの範囲内で所有していますが、この3つだけでも多様性が存在しています。
- ホーム / Home(地図左)
豊かな堆積粘土で、深部には炭酸カルシウムの薄層があります。粘土は、しなやかで奥行のあるワインを生み出します。ホームは、ボトム・ブロック(1994年植樹)とトップ・ブロック(2011年植樹)から構成されています。
- ダムスティープ / Damsteep(地図上)
ホーム・ブロックから国道一号線沿いを10キロほど北上した場所に位置するダムスティープは1999年に植樹され、3つ異なるタイプの石灰岩土壌(ワイカリ、オミヒ、マウントブラウン)がまたがるユニークなヴィンヤード。名前の通り急勾配で、変化に富んだアスペクトからは多様なスタイルのワインが生まれます。
- ネザーウッド / Netherwood
元々、1986年にダニエル・シュスター氏が植えたもので、ノース・カンタベリーで初めて、丘陵地に開墾されたヴィンヤード。
ブラックエステートの栽培品種はリースリング、シャルドネ、シュナン・ブラン、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン。カンタベリーはリースリングやピノ・ノワールの評価が非常に高い産地ですが、シャルドネも非常に美味しかったです♪ワイン造りのアプローチは共通して「ナチュラル」。開けた直後でもデキャンタージュなど不要で、今飲んでも美味しく、熟成できるポテンシャルを秘めていました。
現在は、スクリューキャップを採用していますが、今後は限定キュヴェに限り、上質なコルクを採用して瓶詰めすることも試験的に行っているようです。ニュージーランドは価格帯が一つの魅力でもあります。そんなニュージーランドにおいて、カンタベリーのワインは高い価格帯になると思います。しかしながら、ワイン全体で見ると…まだまだコストパフォーマンスに優れた産地だと思います♪
スクリューキャップは還元的な熟成を経ているので、開封後はやや還元的なワインも散見されます…しかし、このブラックエステートのワインは還元のニュアンスは感じられませんでした。その要因を質問したところ、亜硫酸ももちろん関係はありましたが、新しい発見もありました。それは、土壌との相性に由来するという考えです。特に、ピノ・ノワールは繊細なワインであり、安定させるのが難しい品種です。しかし、ブラックエステートのテロワールと石灰質土壌はピノ・ノワールと相性が良く、醸造の段階から品質を安定させることができます。このため、亜硫酸の添加を極力抑えても還元が発生しにくいのではないかと聞きました。この観点は私にとって新しい発見であり、とても勉強になりました♪
個人的には「Netherwood Pinot Noir[2017]」が非常に美味しく、ピノ・ノワールの銘醸地ブルゴーニュにも勝るとも劣らない品質がありました。是非、ブルゴーニュラヴァーにも飲んで頂きたい1本です!!ということで…仕入れました!!是非、体感してください。
ブラック・エステート
ネザーウッド ピノ・ノワール[2017]
元々、1986年にダニエル・シュスター氏(Daniel Schuster)が植えたもので、ノース・カンタベリーで初めて、丘陵地に開墾されたヴィンヤード。植樹以来ドライファーム(無灌漑)で栽培されているこの土地には、シャルドネが1ha、ピノ・ノワールが4haあり、砂岩と泥岩と若干の粘土という土壌構成。2012年からこの土地を引き継ぎ、 購入は2016年。ネザーウッドの初ヴィンテージは2014年。プライベートテイスティングルームを併設したワイナリーも、ここに建てられています。
さいごに…
ニュージーランドは今では日本人醸造家も増えており、日本人生産者の研修先となり、間接的に日本ワインの品質に貢献したことからも日本にはとても馴染みのある産地でもあります。
ワインの歴史としてはまだまだ新しい産地ではあるものの、ワイン先進国の成功例を応用し、最短距離で注目産地まで駆け上がってきた稀に見る産地です。
今回、信濃屋にお越しいただいたブラックエステートも、ワインの造りはナチュラル。造りも非常に現代的な思考を備えていながら、古き良き伝統を取り入れた現在進行形のワイナリーだと感じます。オーストラリアのワイン専門誌『グルメ・トラベラー・ワイン・マガジン』にて、2022年”ニュージーランド・ワインメーカー・オブ・ザイヤー”にニコラス氏が選出されたこともあり、品質に関してはお墨付きです。
ワインラヴァーはもちろん、個人的にはワインの入門編としてもニュージーランドはとてもおススメです。これから夏に向けて湿気が出てきて、じめじめする季節。そんなシーズンにはスッキリとしたニュージーランドの「ソーヴィニョン・ブラン」は最高です♪そして、最近じわじわ人気の出てきている冷やして楽しむ「チルドレッド」。タンニンの少ないニュージーランドの「ピノ・ノワール」は、チルドレッドで楽しむにも最適な1本です!!まだまだ多様性のあるニュージーランドのワインを是非、この機会にお楽しみくださいませ。次回もまた私が担当させていただきますね♪それでは、また来週…