Shinanoya food & liquor

ウィスキー・ハードリカー・ワイン・こだわりの食品の情報をお届けします。

ワイナリー訪問記@中国地方編(part①)-目黒店 柴野-

2021.11.17

今回の訪問者は…

信濃屋目黒店で店長をしている柴野です。まずは簡単に自己紹介を…

大学時代、東京農業大学の醸造学科で、全国の日本酒蔵、ワイナリー、醤油、お酢、味噌蔵など食品全般の業界の跡を担う人々、また、その業界を目指している方などが沢山在籍する中で、日々、微生物と戯れながら勉強しておりました。

あの人気漫画の「もやしもん」に出て来る学校のリアルバージョンのような、楽しい学生生活でした。

おかげで、学生のうちから、周りの同級生、先輩、そして教授にも、美味しいお酒や美味しいワインを色々と飲ませて頂く機会があり、お酒に関わる仕事がしたいと、信濃屋食品に入社致しました。現在勤務している目黒店は素敵なお客様ばかりで、様々なお酒をご自宅でも嗜んでいらっしゃり、ワインに精通されている方も多く、日々楽しく勤務させて頂いております。

目指すは広島県『福山わいん工房』

今回の出張は、まずは、広島県福山市へ。新幹線を降りると目の前にお城が!日本一駅に近いお城「福山城」です。

福山城の外観
広島という事でカープ坊や(野球好きなので…)

残念ながら、天守閣は改修工事中で見えませんでしたが、近さにビックリ!

今回は、私の勤務している目黒店でお取り扱いさせて頂いている、スパークリングワイン専門のワイナリー「福山わいん工房」にお伺い致しました。JR福山駅より徒歩約10分。町の商店街を入るとその一角に、なんとワイナリーがありました!

福山商店街の街並み
オシャレなレンガ模様の福山ワイン工房入口

『福山わいん工房』 の中を見学

到着すると、オーナーの古川和秋氏さんが笑顔で迎えてくださいました。古川さんは福山市生まれで元々はフランス料理のシェフだったそうです。

調理師学生時代に渡仏し、ランスにある星付きレストランで修行している際に、シャンパーニュ醸造所を大小様々巡り、スパークリングワインの魅力に魅せられたという方。

帰国後、故郷の福山で飲食店を経営され、現在の奥様と出逢われ、ご結婚。お二人で飲食店をされていたそうですが、シャンパーニュ好きの古川さんの夢である醸造所を2016年についに立ち上げられたとの事。

現在はお二人で醸造所に専念されているそうです。

先ずは1階の醸造所へ。入ってすぐに、ブドウの搾汁機があり、その脇には、タンクが並んでおり、今、ブドウはタンクで発酵中。

もうすぐ、シードルの仕込みとなるそうですが、今年は林檎の作柄が厳しく、例年の半分ほどしか取れていないとの事で、昨年より少量の仕込みになるかもとの事。自然相手なので、農家さんもですが、大変なのだろうと思いました。

ワインの原料葡萄は、地元の農家さんを盛り上げるべく、福山のブドウをメインに使用されているそうです。

自社畑もあるピノノワールやシャルドネの畑をはじめ、契約農家さんが昔から大切に育てている、高樹齢のマスカットベリーAが蔵王や瀬戸にあり、このマスカットベリーAの良さを引き出した、スパークリングワインを目指されているとの事。

次に奥に進むと、扉があり、低温倉庫が。熟成待ちのボトルや、タンク、そしてアンフォラが。

こちらがステンレスタンク
ステンレスタンクの前にあるのがアンフォラ

人生で初めて見ました、生アンフォラ!思っていたものより小ぶり?蓋も素焼きでできた、イタリア製の小ぶりなアンフォラ。小ぶりですが、価格は高額なのだそうです。近隣のレストランさんが提供してくださっているそうです。なんて素晴らしい。

昨今、オレンジワインが人気ですが、どんなワインになるか今から楽しみです。

この低温倉庫内で、スパークリングワインのデコルジュマン(オリ引き)を1本1本手作業で行うそうです。瓶口にまとめたオリを特殊な機械で瓶口だけ凍らし、ボトルの中のガスで凍ったオリをポンと押し出す手間のかかる作業。

大手シャンパーニュメーカーは、機械でオートメーションですが、手作業となると、気が遠くなります。オリだけ取るため、低温の中、寒さに耐えて作業するのがとても大変との事でした。

次に2階へ。ワイン樽の貯蔵庫とシードルのケグ(生樽)が沢山ありました。

貯蔵庫内のワイン樽
シードルのケグ(生樽)

シードルのケグは、専用サーバーに繋ぎ、シードルが出るとバッグインボックスワインの様に、空気が抜けていくシステムになっていて、味の変化が少なく、持ちが良いそうです。

ワイン樽のワインは、シェリー酒で行われているソレラシステムの様に、継ぎ足ししていきながら使用しているそうです。

ソレラシステムとは、ピラミッド状に積み上げられた樽の最上段からワインを継ぎ足していき、一番下の樽からワインを使用していく製法。ワインの生産年等による味わいのムラを無くし、安定して高い品質のワインを造り出す事が出来るという技術で、これは、銘醸シャンパーニュのジャック・セロスでも採用されている方法との事。

2階の隣の部屋は、なんとワインバーになっていました。週3回ほど、近くの島からシェフがいらしてワインバーとされていて、福山ワイン工房さんのワインと主に、地のお魚や野菜を味わえるとの事。

次回伺うときは、是非お食事と共にワインを頂きたいです。

いざ!!テイスティング

テイスティングしたワイン
『福山わいん工房』 の 古川 和秋 氏

向かって右側(白いラベル)が「ソーヴィニヨン ブラン ヨコマチ ペール エ フィス エクストラ ブリュット2019」

キリッとしたキレ上がりのある辛口。ソーヴィニヨンブランらしいハーブ感や柑橘感があり、福山の魚介類(カルパッチョ)と合わせたら、とても合いそうでした。あー食べたい!

左側(オレンジのラベル)が「セミヨン ヨコマチ ペール エ フィス エクストラ ブリュット 2019」

セミヨンの程よいコクと果実感を感じる味わい豊かなスパークリングでした。

古川さんと、ワインの苗木のお話やWSETなどの資格の話、私の母校の卒業生がこの業界でも色々活躍している方がいる事など、沢山の貴重なお話をさせて頂きました。

今回は中国地方編は二部構成でお送りいたします!!第一弾はここまでにして続編『part②』へつづく…

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