Shinanoya food & liquor

ウィスキー・ハードリカー・ワイン・こだわりの食品の情報をお届けします。

ワイナリー訪問記-アメリカ出張編-@ネット店 升田-

2024.08.24

今回のブログ担当者は…?

こんにちは!!今週のブログはネット店の升田が担当させていただきます

今年の夏は特に暑いですね。夏も残すところあとわずか…と言いたいところですが、しばらく残暑が厳しい日が続きそうですので、皆様も体調を崩さないよう、どうかご自愛ください♪

ひと昔前に比べると、明らかに天候が変わりましたね。あと数年後には四季がなくなり、雨季と乾季だけになってしまうかもしれない…そんな未来を想像すると、日本人として少し寂しい気持ちになります。私もできる範囲でエコ活を実践し、地球にやさしい生活を心がけていきたいと思います!!

さて、今回のブログでは「アメリカ出張(カリフォルニア)」の渡航記を2回に分けてご紹介いたします。濃すぎる1週間だったので、全部は紹介できませんが…

このブログに先駆けて特集ページも作成しましたので、ぜひ一緒にご覧いただければと思います。そして、もはや人気産地の代表格とも言えるアメリカのワインについて、新たな発見や出会いを皆様にお届けできれば嬉しいです♪それでは、さっそく参りましょう!

今回の出張概要

訪問スケジュールは約1週間。ロサンゼルス国際空港からアメリカに入り、1週間かけてカリフォルニアを北上して行く予定で進んで参ります♪右の地図で、下から上に登っていきます。

銘醸地がたくさんあるカリフォルニアなので、出発前から心躍ってしまい、やや浮かれ気味でした(笑)

今回の出張では、輸入代理店のJALUX様に現地でのコーディネートをお願いしました。また、弊社からは代表取締役の長井とバイヤーの加藤が初めて同時に海外出張に赴くという、信濃屋にとっても歴史的な出張となりました。

とは…

JALUXとはお客様に心豊かな生活をお届けする「生活提案企業」です。航空機部品や機材などの航空関連事業、保険、不動産などの顧客 サービス事業、そして生鮮品や通信 販売などの生活関連事業まで、幅広い事業展開を行っております。国内から海外までネットワークを広げるJALグループのメリットを生かし、食の楽しみをご提案しています。ワインに関しては、世界各地から輸入を行い、ホテル・レストラン・百貨店・専門店・通信販売会社・航空機内サービスなどに販売しています。「ジョセフ・ペリエ」「ビルカール・サルモン」「アンリ・ブルジョワ」「クロ・デュ・ヴァル」「シルヴァー・オーク」「エラスリス」など、高品質なブランド展開を強みとしています。

サンタ・バーバラ編

「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」
テイスティングルーム外観
「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」
テイスティングルーム内観

カリフォルニア南部、州の中で最も冷涼な地域のひとつであるサンタ・バーバラ。アカデミー賞を受賞した映画「サイドウェイ」の舞台になったことで一躍脚光を浴び、カリフォルニアを代表する産地になりました。カリフォルニアで唯一海から東西に続く山脈があり、海からの風や霧が内陸に流れ込むため、冷涼な気候が特徴です。冷涼な地域の為、ブドウは酸味を保ちながら完熟し、凝縮感や構造、ミネラルを併せ持つ素晴らしいワインが生まれます。

サンタ・バーバラの街中には所狭しとテイスティングルームがあり、テイスティングルームだけをマッピングした地図まであるほどにワインの街でした♪この街中に泊まりたかった…(笑)

最初に訪れたのは「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」。ご存知の方も多いのではないでしょうか??ワイナリーを立ち上げて間もない1989年、1990年と2年続けて、ロバート・パーカー氏より「ベストワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。三角形のラベルは「オー・ボン・クリマ」の象徴としてあまりにも有名。世界中にファンをもち、アメリカで最も有名なワイナリーの1つとなっています。

「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」のテイスティングルームもここにあります。現地でしか購入できないライブラリーストストックもあったのですが、円安の影響で…諦めました(泣)「オー・ボン・クリマ」だけではなく、現地の方々や観光客でテイスティングルームは賑わっており、観光地としてもおススメです♪アメリカらしさを感じたポイントは、ワインの生産者を訪問すると、畑や醸造設備も案内してもらいながら話を聞くことが多いのですが、アメリカでは圧倒的にテイスティングの時間が長かったです。そこで、ワインの話はもちろん様々な会話が生まれました。コミュニケーションを大切にするアメリカの国民性を感じることができたのも、テイスティングルームがあったからこそかなと思います。

「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」
テイスティングルーム内観

少し場所を移動して、オー・ボン・クリマは、サンタ・バーバラの中でも評価の高い「ビエン・ナシード」を中心に、サンタ・バーバラの中で評価の高いブドウからワイン造りを行っています。醸造場所は公開しておらず、一般の方は訪問ができないようになっております。「ビエン・ナシード」の畑は日差しは強いのですが、海から流れてくる風がとても涼しく、昼夜では寒暖差も大きくなりブドウの生育には最適です♪ソムリエ教本で頭で理解していたことを、このアメリカ渡航で存分に体感しました!!

現在「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」は第2章が幕を開けています。

創設者であるジム・クレンデネン氏は2021年5月に他界、68歳でした。ニュー・カリフォルニア・ワインの新世代にも影響を与え、歯に衣着せぬ物言いと長い金髪で、ワイン愛好家から愛された野生児。早すぎる死を悼む声が世界中から寄せられました。

現在は、ジム・クレンデネン氏が愛した息子のノックス・アレキサンダー氏がワインメーカーとして後を継ぎ、娘のイザベル女史がマーケティングを引き継ぎました。

息子のノックス氏、娘のイザベル女史ともにまだ若く「未来」しかありません。しかし、心配はご無用♪創業者のジムは生前、世界中を飛び回っていたので、彼がいなくても彼のビジョンを実行できる“ドリーム・チーム”を創り上げていました。現在も、30年間ジムと共に働いてきたジム・エーデルマン氏が、畑からボトリングまでのオペレーションを監修しています。そのため、若い二人へと看板は託されましたが、長年のチームが屋台骨として「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」を支えています。
今でも毎日、テーブルを囲ってみんなでランチを食べています♪

醸造設備の説明をするノックス氏
ノックス氏25歳の誕生日をみんなで祝いました♪

息子のノックス氏、娘のイザベル女史も親日家。毎年プライベートで日本に来ています。日本に住んでいた時期もあるので、簡単な日本語での会話は何も不自由しません♪とても親近感が持てます。

二人とも家業を継ぐのは突然のことだったと察することはできます。しかし、私の体感では経歴を知らなければ、他の生産者と遜色なくヴィンテージのことから醸造のことまで、しっかりと自分の口で語ってくれていました。ただ、長年のパートナーシップを築いてきたJALUX様から見ると、すっかり醸造家の顔になったと親族に向けるような眼差しで話を聞き入っていたのがとても印象的でした。

左:ノックス氏 中央:弊社の代表取締役 長井 右:イザベル女史

2人とも、自らの名前を冠した有名なピノ・ノワールを醸造しており、最初のヴィンテージは彼らの誕生年に始まり「イザベル」は 1995年。「ノックス・アレキサンダー」は1999年に始まりました。「イザベル」がカリフォルニア州各地のブドウをブレンドしている(AVAはカリフォルニア)のに対し、「ノックス・アレキサンダー」はサンタ・マリア・ヴァレーの特定ブロックのピノ・ノワールのみを使っています。(AVAはサンタ・マリア・ヴァレーかつ【エステート】表記)「イザベル」は全除梗。「ノックス・アレキサンダー」は全房発酵を一部使用して造り、その割合はヴィンテージによって変わります。

「イザベル」のラベルは2018年から、幼いイザベルがブランコに乗った絵柄から、成人したイザベルがワインを飲みながら、くつろぐ絵柄に変更となっています。イザベルが直談判をして変更したみたいです♪

今までは「イザベル」がフラッグシップでしたが、現在は二人がワイナリーを支えているため、今後「ノックス・アレキサンダー」との2枚看板がフラッグシップになります。そのため「ノックス・アレキサンダー」の方が値上がり幅は大きくなることが予想されます。今買っておくなら「ノックス・アレキサンダー」の方がお得です♪

さいごに…

フランスのような伝統的なワイン産地は、その歴史と品質でワインラヴァーを惹き付けていますが、アメリカのような新しいワイン産地も独自の魅力を持っています。最近では、マスターソムリエ協会が「旧世界」「新世界」という用語を削除するという立場を表明して話題になりました。それに伴い、ワイン&スピリッツ教育トラスト(WSET)も、2022年夏からこの条件を廃止しました。

新世界と呼ばれていた産地でも気候と土壌の多様性を活かした革新的なワイン造りが行われており、独特な風味と個性を持つワインが次々と生まれています。また、「Au Bon Climat オー・ボン・クリマ」のように醸造家やブドウ栽培の世代交代が進む中で、若い感性によって生み出される新しいワインもまた魅力的だと感じました。

今回訪れた生産者達は、特に若いワインメーカーたちが多く、自由な発想と革新的な技術を駆使して、個性的で品質の高いワインを生み出しています。新しい感性とともに進化するワイン文化が、これからますます多様で豊かな味わいを提供してくれることは楽しみであり、共に成長できる時間を共有することでもあると思います。伝統と革新が融合することで、新たなワインの発見や楽しみと出会う機会が生まれて欲しいと心から思いました。そんな思いを綴ってまた次回「ナパ・ソノマ編」へつづく…

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