
ワイナリー訪問記-イタリア出張編part①-@虎ノ門cask 川上
今回のブログ担当者は…?
皆さんこんにちは。虎ノ門cask ワイン担当の川上です今回は弊社のイタリア直輸入ワインの【カステラーニ社】に訪問させていただきました。
私自身、ワインの海外出張は初めての経験なので出発前から年甲斐もなくワクワクしておりました。出発の5時間前には目が覚めてしまい暇を持て余した私は、趣味のお菓子作り(チョコレートスコーンを作りました)をしてから羽田空港へと向かいました。
イタリア出張の概要
今回イタリア出張でお世話になったのはトスカーナの老舗の名門・カステラーニ社
その歴史は2023年に創業120周年を迎えるトスカーナを代表する老舗生産者。弊社が初めて輸入したのが2011年、それから10年以上に亘り長いパートナーシップを結んで輸入・販売しているイタリアで最もお勧めの生産者です。3日間お世話になった宿泊施設は、そのワイナリーの一つで宿泊施設も兼ねるポッジョ・アル・カゾーネ。ワイナリー中にあるため見渡す限りワイン畑が広がる素敵なホテルです。



テヌータ・ディ・カンポマッジオ訪問編
訪問初日は、キャンティ・クラシコの中心地ラッダ・イン・キャンティに位置するテヌータ・ディ・カンポマッジオへ。宿泊しているアルカゾーネから車で2時間ほど移動して、キャンティ・クラシコ地区の中心地ラッダ・イン・キャンティにあるワイナリーでラッダ村を目の前に臨む丘陵地にワイナリーがあります。このワイナリーは、丘陵地の標高350mから600mに広がる畑を所有し、土地の個性を最大限に反映したワインを生産しております。

※画像左上:カンポマッジオの当主ピエル・ジョルジュ氏の息子ジャコモ氏のご息女シシリアさん。医者の仕事を10時から16時までこなし、カンポマッジオのワインの流通や経営のサポートをされています!!
標高350m地点では、砂質の土壌に尖った石や石英石(水晶石)や貝殻が点在し、ブドウに独特のミネラル感を与えており、ここから中部にかけてキャンティ・クラシコのワイン用のブドウを栽培しております。



栽培に関しては温暖化の影響を受け、収穫量を調整しながら質の高いブドウを確保するため、グイヨ式からコルドン式へと仕立てを変更する取り組みを行っているそうです。古くから続くワイン造りの技術と、新たな環境への適応。そのバランスをどのように取るかが、彼らのワイン造りにおいて重要な課題となっているそうです。



一方、標高600mの畑ではローヌ地方に似た丸い石が広がり、かつてこの地が川底であったことを物語っていました。一番高いところはトップ・キュヴェのサンタ・テレサの畑があります。サンタ・テレサまで上がると風が強く冷涼感を感じ、他のキャンティ・クラシコに比べて標高の高さからくるミネラルや繊細さの感じられるのは、このテロワールによるものだと思われます。
栽培に関しては、この土地の苗木の寿命は平均50年以上と長く、1本の苗木からとれるブドウの量も少ないためこの土地の苗木はグイヨ式のままだそうです。また先ほど記載した通り、冷たく強い風により害虫や病気から守られ、農薬は使わず栽培しているとのことでした。その後カンポマッジオのゲストハウス内にあるテイスティングルームに移動し、ランチミーティングを楽しみました。
ランチミーティングの様子
実際にこれらの畑で育ったブドウから造られたワインを飲んでみると、標高や土壌の違いがどれほど味わいに影響を与えるのかがはっきりと感じられました。






実際にこれらの畑で育ったブドウから造られたワインを飲んでみると、標高や土壌の違いがどれほど味わいに影響を与えるのかがはっきりと感じられました。
- 標高350m~500mのワイン
標高が低めのエリアで造られたキャンティ・クラシコは、果実味が豊かで、しっかりとした骨格を感じる味わいでした。特に砂質の土壌に由来するのか、滑らかでやや丸みを帯びた口当たりが印象的です。一方で、石英石や貝殻が含まれるためか、アフターにはほんのりと塩味を伴うようなミネラル感があり、単なる果実味豊かなワインではなく、バランスの取れた奥行きを持っていました。温暖化の影響もあるのか、ブドウの熟度は高めで、程よい凝縮感がありつつも、過熟にならないギリギリの線を保っている印象です。

- 標高600mのワイン(サンタ・テレサ)
サンタ・テレサの畑で造られたワインは、明らかに異なる表情を持っていました。まず、香りの立ち方が繊細で、果実よりもスパイスやハーブ、湿った石のような香りが際立ちます。味わいは驚くほどエレガントで、果実味は抑えられ、代わりに鋭い酸とミネラル感が全面に出てきます。飲んでいると、口の中でじわじわと広がる冷涼感があり、まるで風の吹き抜ける畑の景色が目の前に浮かぶような感覚になりました。これが標高の高さと強い風の影響なのかと、改めてテロワールの力を実感しました。

同じ生産者、同じエリアのワインでも、標高や土壌の違いがこれほどまでに味わいを変えることに驚かされました。標高が低いエリアのワインは、果実の厚みとバランスが魅力で、しっかりとした飲み応えがあり、食事と合わせやすい印象。一方で、標高600mのワインはより洗練された構成で、細やかな酸とミネラル感が際立ち、単体でじっくり楽しみたくなるような繊細な仕上がりでした。
こうした違いは実際にグラスを通して体験することで、ワイン造りにおいて土壌や標高がいかに重要な要素であるかを、改めて強く感じました。テイスティング終えた後は醸造所見学をさせていただきました。
醸造設備の様子


サイドにステンレスタンクを配置


カンポマッジオを訪れて
今回、実際に標高や土壌の違いがワインの味わいに与える影響を実感しました。特に、サンタ・テレサのワインを飲んだときの冷涼感とミネラル感の広がり、クリアでアフターに残る熟成からくるしっかりとした味わいは印象的で、グラスの中にその土地の風景が浮かび上がるような感覚になりました。
また、伝統的なワイン造りと温暖化への適応を両立させる生産者の姿勢にも感銘を受けました。同じ地域、同じ品種でも、標高や土壌が変わるだけでこれほどまでに違いが出るのは、まさにテロワールの力。カンポマッジオのワインをより深く味わいたくなる、貴重な体験でした。次回へ続きます…