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進化を続けるニューヨークワイン@バイヤー 加藤

2025.04.05

こんにちは。バイヤーの加藤です。最近は、ワインのアルコール度数も気にしながら、商品選びをしないといけないぐらい地球温暖化で、全体的にアルコール度数が上昇しているため、ブルゴーニュでも15%前後のアルコール度数をみかけるのも珍しくない時代に突入しております。

そんな中、アルコール度数も低く(11%~13%)ピュアでエレガントなワイン産地に注目しており、特にアメリカ・ニューヨークワインの進化は著しく、個人的にお勧めしたいワイン産地なのでちょっとニューヨークワインのご紹介をさせていただきます♪

ニューヨークワインとは…

カリフォルニアに初めてブドウが植樹されたのが18世紀末とのことですが、実は17世紀前半からニューヨークではすでにワイン造りが試みられていたようです。最初はニューヨークという寒冷な産地に適合するヨーロッパ系品種のブドウを見つけることができず、厳しい時代が続いたようです。そしてようやくヨーロッパ系品種のブドウ栽培とワイン醸造に成功し始めたのは、1960年代に入ってからのことで、まさにここからニューヨークワインの新しい時代が始まったといえるかと思います。

アメリカ東海岸の北部に位置するニューヨーク州は、実は世界中のプロフェッショナル達が注目する、世界的なワイン産地でもあります。全米第3位のワイン生産量を誇るニューヨーク州の主要品種ですが、白はリースリングとシャルドネ、赤はカベルネ・フランとメルロになり、アメリカと言えばカリフォルニアですが、比較すると格段に冷涼な産地であるニューヨーク州は、現在11のAVAがあります。

ニューヨークのブドウ品種

ブドウ品種は、大きく3つのグループに分けられます。

  • ヴィティス・ヴィニフェラ系品種

1950年代から栽培のはじまったヴィティス・ヴィニフェラ系。現在、同州の高品質ワインといえばこちらになります。

  • アメリカ原産品種

野生ブドウから選抜されたものが多いが、大多数が比較的安価な甘口ワインやジュース系で使用されることが多い傾向にあります。海外市場ではほとんど出てこない品種になります。

  • フレンチ・ハイブリッド

19世紀末以降にフランスとNYで開発された、アメリカ原産品種とヴィニフェラの交雑品種。個性豊かな品種になります。

主要品種

  • リースリング

NYの象徴品種と呼ぶべき人気のブドウ品種。本家ドイツの銘醸にも匹敵する優れたワインが多数生産されています。スタイルも幅広く、白い花の香りに、柑橘類やアンズ、洋ナシ、リンゴなどの果実香が組み合わさって、深みと持続性に秀でています。

  • シャルドネ

世界中で最も消費者に支持されるブドウ品種。万人受けする比較的にニュートラルな香味と、コクのある味わいが特徴。軽くフレッシュなものから、複雑で長期熟成の可能なスタイルまで様々なワインが生産され、世界クラスの品質を備えたものも少なくありません。

  • カベルネ・フラン

近年国際的にも注目を浴びている黒ブドウ。赤い花の華やかなニュアンスが強く、NY州の気候によく適合し、軽やかに仕上げたものと、樽熟成を経た本格派のスタイルの双方に優品があります。

  • ピノ・ノワール

ワイン愛好家の中では圧倒的な人気を誇る品種。赤果実系、穏やかな渋みが特徴で、しなやかで官能的なスタイル。比較的早熟な品種のため、冷涼なNYでも注目されています。

主要2大ワイン産地

出典元:ニューヨークワイン&グループ財団
  • フィンガー・レイクス AVA

NY最大のワイン産地で、NY州のあらゆるブドウ産地の中で、フィンガー・レイクス地域はおそらく最も多様なワインが生産されているエリアであり、栽培品種、ワインのスタイルともに幅が広いのが特徴。主要品種は、白ブドウでこの地域を象徴するリースリングのほか、シャルドネ、ゲヴェルツトラミネールなど、黒ブドウではカベルネ・フラン、ピノ・ノワールなどが栽培されています。白ワインタイプは、辛口のほか、甘口や貴腐ワイン、アイスワイン、スパークリングなども造られています。

  • ロングアイランド AVA

ニューヨーカーの注目を集めるワイン産地。栽培さているのはほぼヴィニフェラのみで、黒ブドウのボルドー品種であるメルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、白ブドウではシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴェルツトラミネールやリースリングなどが主力。本格派なスパークリングワインも良いが、辛口のロゼは特に近年人気を呼び大人気です♪

ニューヨークの気候

ワイン産地としては、冷涼な部類に入るものの、フィンガー・レイクス、ロングアイランドといった主要地については、ヴィニフェラ系のブドウが熟するのに十分な気温もあります。主要なワイン産地における過去のブドウ生育期間の有効積算温度(華氏)と年間降水量(㎜)をみると興味深い数字が見て取れます。※毎年変動あり

産地有効積算温度年間降水量
フィンガー・レイクス(NY)2400860
ロングアイランド(NY)27001250
ブルゴーニュ(フランス)2400780
ボルドー(フランス)2500950
ナパ・ヴァレー(アメリカ)3100930
ラインガウ(ドイツ)2000550
クレア・ヴァレー
(オーストラリア)
3200580
山梨/勝沼(日本)39001080

リースリングで有名な、フィンガー・レイクス地域を見た場合、ドイツよりは温暖だが、オーストラリア、クレア・ヴァレーよりはかなり冷涼地域となり、リースリングは幅広い温度帯でも素晴らしい果実を実らせることができるのと、ボルドー系品種の産地としてロングアイランド地域を見た場合、ボルドーよりは温暖だが、ナパよりはかなり冷涼で、ワインのスタイルにもこの特徴ははっきりと表れています。

ニューヨークワインのお勧めポイント

ニューヨークと言えば誰もが知る世界有数の大都市で、常にメディアでも特集が組まれるような世界の流行発信地です。そんな都会的なイメージから「ワイン産地」というギャツプが興味をそそるところで、5つのお勧めポイントをご紹介。

  • 冷涼な気候で造られる、アルコール度数が低めでエレガントなスタイルが特徴のワイン
  • 州全体で現在約500軒のワイナリーがあり、そのほとんどが小規模家族経営のワイナリー
  • ニューヨークシティが主要マーケットという、大都会と自然とのバランスが織りなす唯一無二のワイン産地
  • ほとんどのワインが11-13%と低めのアルコール度数で、食事に合わせやすく飲み疲れもしずらい
  • 全体輸出量の少なさから、日本だけでなく世界中でもまだまだ希少な存在であり、街そのものオシャレなイメージ

バイヤー加藤のお勧めワイン

マスター・ソムリエ(MS)、シェフ、醸造家、そしてビジネス・オーナーという4つの顔を持つ奇才、クリストファー・ベイツMSが率いるワイナリー。2010年に初ヴィンテージをリリース以来、ニューヨークシティのトップレストランなどの限られたルートのみ流通するような、知る人ぞ知るワインになっており、年間生産量もわずかで現地でも見つけるのが困難。色味は淡めで、力強い果実と大地の香り、繊細なバラの花びらなど魅惑的な香りと味わいが楽しめるNYを代表するピノ・ノワール。もう購入できないバックヴィンテージの2015年。今となってはお買い得な1本です♪

  • オズモート・ワイン / フィンガー・レイクス シャルドネ・セネカ・レイク[2021]

躍動するFLXを盛り上げる次世代のホープ。冷涼産地としてのテロワールに加え、世界中でワイン造りの経験を積んだ若手生産者が台頭。その中で、今後の活躍が期待されているのがオズモート・ワイン。畑の手入れからワイン醸造、販売までをすべて一人でこなすマイクロ・ワイナリーでありながら、その品質は特質すべきものがあります。ストラクチャーは軽めだが、黄色いりんごの香りが、パイナップルやココナッツやマジパンの控えめな香りに寄り添います。シャキッとした酸が後味をすっきとさせてくれるので、食事にも合わせやすい1本。※caskのみで取扱中。

さいごに…

日本というマーケットは特殊で、流行りやすく飽きやすい、ただ常に本物の感度を求める人が多く溢れ、非常に成熟しているのも事です。そんな本物志向の方に是非一度味わいっていただきたいのが、ニューヨークワインではないでしょうか。少子高齢化、時代とともに、造り手から消費者まで世代交代もあり、これから先10年で大きく変わるであろう日本のマーケット。前述に触れた、地球温暖化によるアルコール度数上昇、またアルコール離れもあり全体的なライト志向の側面からも、ほとんどが低アルコール(11%-13%)のニューヨークワインこそ、日本の食卓で飲まれるべきワインになると感じております。やや高単価のが気にはなりますが…素晴らしいワインが沢山あります!!

個人的に、オズモートのシャルドネは、ブルゴーニュの格付け畑のワインに匹敵するほどエレガントで、NYで一番好きなシャルドネです。5,500円と安くはないですが、同価格のブルゴーニュを探しても同じクオリティのワインを見つけるのは難しいでしょう。また、ロングアイランドのロゼは世界的に有名ですが、プロヴァンスの次にロゼワインの消費が多いようなのでいつか仕事やバカンスで、ロングアイランドで海を眺めながらロゼワインを飲んでみたいものです♪

ボルドーやブルゴーニュは知らなくても、ニューヨークを知らない人は恐らくいないほど、誰もが知っている場所。これからワインを飲んでみたいという人には勿論ですが、ワイン通で伝統的ワイン産地以外のワインをお探しの方にも必ず新しい発見があると思います♪冷涼系最高!!

信濃屋ワインバイヤープロフィール

鳥取県出身。ホテルオークラ東京(現TheOkuraTokyo)で当時、国内随一の人気と格式のあるフレンチレストランLaBelleEpoqueにてサービスに従事。数々の海外星付きシェフのフェアなど経験し、フランス料理の神髄とサービスマンとしての振舞いを学ぶ。

その後、丸の内再開発プロジェクトとしてOPENした、ミクニ・マルノウチにてソムリエに就任し、当時PP100点のボルドー ワインを全てオンリストするなどして話題に。そして若手ソムリエコンクール(当時25歳以下)にてファイナリストを経験。ソムリエとして更なる飛躍を目指し、当時パリ一つ星「STELLA MARIS」 の吉野建氏が東京にOPENした「tateru yoshino」のソムリエに就任。現在は、信濃屋のワインバイヤーとして、ソムリエとしての経験と世界11ヶ国のワイン生産地を訪れた現地での情報を基に、ビギナーからプロフェッショナルまで楽しめるワインショップとして業界で注目され続けている。 また人と人との出会いを大切に、オン・オフのマーケットの交流とリテールに携わる人々の社会的な向上をはかり広く社会へ貢献することをモットーに日々奮闘中。

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