Shinanoya food & liquor

ウィスキー・ハードリカー・ワイン・こだわりの食品の情報をお届けします。

食文化を伝えるということ@ネット店 升田-

2022.03.30

今回のブログ担当者は…?

こんにちは!!前回に続いて、今回もネット店のワインを担当しております升田がブログをお送りさせていただきます♪どうぞよろしくお願いします。

ブログのテーマについて…

今回は信濃屋食品の経営理念にもある『食文化で社会に貢献する』をテーマにブログを綴らせていただきます。この北海道出張、最後のディナーは弊社 代表取締役社長 長井 正志より『勉強してこい』っと男気をいただきまして、社を代表して札幌が誇る名店を訪れました。その様子をブログでご紹介いたします。正直、社内の人間も嫉妬する内容ですが、しっかりと今回の経験を糧に成長することをここに宣言することにもなりますので、責任重大です…でも、固くなりすぎ一般の方々には素晴らしい経験を少しでも共有できればと思います♪それでは、ブログスタートです!!

akinagaoについて…

これから始まる素晴らしいディナーを予感させるテーブルセッティング

東京・フランス・円山で腕を磨いたシェフ 長尾 彰浩 氏が2010年に札幌で開いたレストラン。
全国の素晴らしい生産者が生み出す食材を使い、長尾シェフの感性で一皿一皿に北海道の四季を表現し、旬を落とし込んだ料理が楽しめる札幌版ミシュランの一つ星獲得の名店です。今回はそんな素晴らしいレストランで、こだわりの食材から創られる極上料理に北海道のワインをペアリングで楽しませていただきました♪言葉下手な私ではありますが、しっかりとメモを取って食事をしてきましたので余すことなく伝えて参ります!!

アミューズ/ワイン1杯目

アミューズのいわゆるポテトチップ
最初の一杯 10R winery よい花は後から 2019

アミューズ

紫:ノーザンルビー(北海道生まれのピンクポテト)。黄:北海道産インカのめざめ(南米アンデスのお祭りでしか食べられなかったじゃがいもを日本向けに改良し誕生した貴重品種)。インカのめざめは、糖度が高く甘味がありました。ノーザンルビーは綺麗な紫色がシンプルな料理に彩を与えてくれていて、人生で最高級のポテトチップスを食すことができました!!

最初のワイン

10R winery(トアール) 『よい花は後から 2019』品種:ケルナー

10R(トアール)はカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)です。
カスタムクラッシュは欧米では一般的ですが、日本ではまだなじみが薄いかもしれません。
地域のブドウ農家の皆さんが高品質のブドウを栽培し、それを他所にはないワインへと創り上げていくお手伝いをすることを通じて、ワイン産地としての北海道の潜在能力を最大限に引きだしています。

外観はイエローに近いレモン色。香りは白い花、ハーブ、ハチミツなどが感じることが出来ます。アタックは柔らかく、味わいはリッチで芳醇。残糖もありました。酸味も穏やかで余韻は長い。そんな印象でした。こちらに合わせるのを想像しながら1品目に思いを馳せました…

はじまりの一皿/春の一皿

北海道の雲丹と竹墨のタルト
マグロと山菜”コジャック” 米糠のパウダー

北海道の雲丹と竹墨のタルト

ウニの生産量日本一を誇る北海道。しかし、この時期の北海道産ウニはなかなか食べられないようで、他のお店ではウニは出しておりませんでした。聞くところによると、北海道産のウニは貴重な資源であるため、獲りすぎることのないよう、産卵時期や繁殖時期は場所に応じて禁漁期間が設けられてるようです。他のお店では夏がウニは良いですよっという情報を貰ったので、ウニ好きな方は8月がおススメです♪

実は、何を隠そう私ウニが嫌いです…その場にいたメンバーにも言えないまま食しました!!自分のウニの概念を覆してくれました!!これがウニ…旨い!!自分は本物を知らなかっただけなのでは…もしくは、ウニは北海道でしか食べるなという事なのか…(笑)

ウニの凝縮した甘味、中にカリフラワーのムースが入っているのですが、そのまろやかさがワインのやや甘味のあるリッチな味わいと見事に調和しています。ケルナーのミネラル感が竹墨のタルトからくるミネラル感とバッチリ!!そして、タルトの上にはエスプレッソがアクセントにあるのですが、これがワインの後味に来る苦味と重なり、正に”完璧”な調和でした…

マグロと山菜”コジャック” 米糠のパウダー

函館のマグロに北海道の山菜”コジャック”を使用した一皿。初めて聞く山菜”コジャック”…聞くところ、せり科の山菜(別称:コジャク・シャク)で、茎が空洞で山菜独特の苦味が特徴だそうです。おひたしなどで食べたことがあるようなないような…でも。美味しかったです♪

2杯目 Domaine Atsushi Suzuki Tomo Rouge 2020

2杯目のワイン

このマグロに合わせるワインはこちら。

Domaine Atsushi Suzuki(ドメーヌ アツシ・スズキ) 『Tomo Rouge 2020』品種:ツヴァイゲルト

なかなか東京では手に入らない北海道ならではの1本。私も初めて飲みました♪札幌出身の鈴木ご夫妻が経営する小さなワイナリーで、後々出てきますが…ドメーヌ・タカヒコにて研修して開業した卒業生ですね。自園のブドウのみの力をストレートに表現したピュアな味わいでありながら、どこか優しいニュアンスで口に広がり満たされるワインは日本ワインという事を忘れてしまいそうです。

ここでは、ピノかなっと思いましたがこんなエレガントなツヴァイゲルトが出てくるとは思いませんでした。外観はピノに似た淡い色調。赤系果実の香りがあり、味わいはエレガントでとても綺麗なワインです。余韻も非常に長く楽しませてくれる1本でした。

個人的には赤身との相性の方が抜群だったかなと感じます。ここでいい味が出ていたのが米糠のパウダー。このツヴァイゲルトにはお出汁のような旨味があり、この旨味がマグロを噛み締める度に旨味が乗ってくることで味わいに深みが生まれてきた印象があります。

季節のスープ/3杯目のワイン

新玉葱のポタージュとトリュフ
3杯目 Domaine Mont Monpe 2021

新玉葱のポタージュとトリュフ

季節ごとに素材が変わるポタージュです。3月は新玉葱。素材を炒めて煮込んで、甘さと旨味を最大限に引き出しているそうです。トリュフと新玉葱のパウダーがより豊潤な香りを与え、玉葱の素材を使用した盛り付けも鮮やかです。テーブルに届けられて瞬間から視覚と嗅覚は奪われ、その味わいは至福の瞬間です。とても濃厚かつ玉葱の甘味が十分に感じられ美味しかったです♪

3杯目のワイン

Domaine Mont(ドメーヌ・モン) 『Monpe 2021』品種:ナイアガラ

前回のブログにて紹介しました我々も訪問させていただきましたDomaine Mont(ドメーヌ・モン)。詳しい詳細は前回のブログをご覧ください。その中から、北海道余市町のナイアガラを使用したペティアン(微発泡)スタイルの1本。ナイアガラらしい華やかな果実香、オレンジやみかんなどの柑橘系の香りとトロピカルなマンゴーのような香りもありました。穏やかな酸もありますが、口当たりはまろやかで丸みのある印象です。

思わずモンペをポタージュに入れて飲みたくなるかのようなペアリングを発揮しました。もはやどっちがスープでワインか分からないぐらいスイスイ・ぐびぐび食事が進みます。ペティアンではありますが、提供温度が良いのでしょう。赤ワインよりやや低い程度。それによりナイアガラが持つ華やかな香りが感じ取れやすく、より果実味を感じることが出来ました。それにより新玉葱の甘味やトリュフの香りに負けることなく、そこに寄り添うことが出来るワインとなっておりました。

個人的にはここにはオレンジワインなども代用として合わせられると思います。オレンジワインが持つ柑橘系の香りと醸しからくる、果実感はこのポタージュにピッタリと合うと思いました!!

羅臼産 キンキ/4杯目のワイン

キンキの鱗焼き キャベツの甘味とサフラン 菜の花を添えて
4杯目 農楽蔵(のらくら)FUMIZUKI 2019 BLANC

キンキの鱗焼き キャベツの甘味とサフラン 菜の花を添えて

キンキの鱗はカリカリに仕上げられてはいるものの、身の火入れ具合は繊細。そこに、しじみとキャベツの旨味を凝縮したスープと季節の菜の花が添えてあり、もはや白ワインを飲むために創られた料理としか思えません(笑)触感はバリバリと楽しみながら、キンキをいただきます。そこにサフランのスープ、サフランの香りが華やかで、これがワインの持つ香りにとても合います。味わいだけでなく、香りも調和しております。北海道のワインは共通して旨味を感じるワインが多いことから、このような出汁系の料理では抜群の相性を発揮します。個人的には今回のベストワインでした!!

4杯目のワイン

農楽蔵 『FUMIZUKI 2019 BLANC』品種:シャルドネ

北海道ワインの中でも幻のワイン。稀少ワイン「農楽蔵(のらくら)」。今から10年前、佐々木ご夫妻は有機栽培のブドウを使い、野生酵母で発酵させる自然派ワインを生み出すため、2011年に北斗市文月にほ場を開設し、12年に函館市元町の印刷会社跡にワイナリーを開きました。色々なキュヴェがあり、シリーズよってワインのスタイルが異なります。佐々木ご夫妻は、ワインの味わいは、葡萄品種だけでなく、土地の個性によって、そしてできたブドウと人がどう向き合って造るかで決まると考えています。私も初めて飲みましたが、先入観なしに純粋に美味しいと思えるワイン。そして、日本ワイン!?というクオリティの高さにただただ驚かされました…

函館 おぐに和牛/メインのワイン

函館おぐに牛 朴葉包み 玄米味噌と黒オリーブのタップナード

函館おぐに牛 朴葉包み 玄米味噌と黒オリーブのタップナード

さてメインの料理です。北海道の北斗市の和牛牧場で育てられるおぐに牛。味にこだわり、販売まで一貫運営を貫く徹底した品質管理とこだわりぬいた味わいに定評がある牛肉です。何といっても特徴は、年配の方でも楽々食べられる上質な肉質と触感。何でも牛肉の成分でオレイン酸というのがあるそうです。一価不飽和脂肪酸のひとつでオリーブオイルの主成分としてよく知られています。その成分は、動脈硬化を防ぐ役割が知られています。全国的には55%を超えると良質の牛肉とされる流れができ始めていますが、おぐに牛は55%〜60%。時には60%を越えることもあるそうです…

そんなおぐに牛は、朴葉包みで包焼くことで旨味を閉じ込めて更に複雑な香りも料理にエッセンスを与えます。更に玄米味噌と黒オリーブのペーストを添えることで、追いうまみ成分を追加。フレンチの要素に和のエッセンスを加えることで、味わいに奥行と深みを与えてくれます。500gぐらい食べたかったです(笑)

Domaine Takahiko NANA-TSU-MORI 2016

Domaine Takahiko(ドメーヌ・タカヒコ) 『NANA-TSU-MORI 2016』品種:ピノ・ノワール

ここまで来ればメインは…もう言わずもがなですね(笑)そうです!!ドメーヌ・タカヒコ登場です。しかも貴重なバックヴィンテージ『2016』。ワインリストには2015年もありましたが、ソムリエ曰く今は『2016』が良いとの事。我々、ドメーヌ・タカヒコにて曽我さんにお話を聞いていたので、このワインをより美味しく楽しむことが出来たのはないでしょうか。飲んだ瞬間、ワイン畑のこと、その時の曽我さんのお話などが蘇ります。やはり、美味しいです。全房由来の香り、北海道のピノにある出汁のニュアンス、綺麗な酸、永遠に思えるような長い余韻。正に飲むべきワインです!!

写真の機械は、デキャンターとは違いボトルの底部分にあるハンドルをクルクルと回すと、ボトルがゆっくりと傾きワインを注ぐことができます。私も飲食勤務経験はありますが、最近はもはや星付きでもあまり使うことが無いのではないでしょうか…視覚の効果も大事ですね!!雰囲気を変えてくれます。

〆のデセール/〆の1杯

コーヒーのムースと金柑 生姜のグラニテ
十勝ワイン 1987
ハーブティー各種

〆は十勝ワインの1987原酒のブランデーをオンザロックでいただきました。生姜がピリッと効いたグラニテで口直しをして、コーヒームースとブランデー…大人ですよね(笑)金柑の甘味と酸味が良いアクセントになっていて美味しかったです。そして、最後はハーブティーを…終わりかけは泣きそうだしたね…終わってほしくない&食後の余韻で感無量でした。北海道料理と現地のワインを楽しめる素晴らしいお店”akinagao”決して安くありませんが、札幌に訪れた際は、是非お勧めのお店です。

最後に…

冒頭にも書きましたが、今回の経験をここに綴る意味ですね…やはり小売店として、ワインだけ売っていれば良いという訳ではなく、生産者の方々もその先にこう言った食文化と共に未来を歩んでいきたい想いがあるのではないでしょうか。その間に入る我々小売店という意義の大きさはとても大切であると改めて感じました。今回の経験をそのまま伝えるのではなく、家庭料理に置き換えて何に合うか、このワインの代替は何が良いかetc…お客様の『今日はこれを食べたいのだけれど、何が合うかな』そんな何気ない日常に彩を与えてくれるのがワインであり、食文化なのではないでしょうか…今回のこのブログが今回の北海道出張で改めて気付くことができた貴重な時間でした。

改めまして、今回の北海道出張にあたり、現地でお世話になった方々はじめ、我々の不在を埋めてくれた弊社メンバー並びに、素晴らしい経験をくれた会社に感謝をして、また明日から精進して参りたいと思います!!そしたらまた北海道に来てもいいですか(笑)最後はこんな感じで失礼いたします。皆様にも、弊社の想いが少しでも届くことを願っております。

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