
【深堀りコラム】SHINANOYA PRIVATE BOTTLING 「琵琶湖蒸溜所謹製 オリジナルブレンデッド&モルトウイスキーについて」
いつも弊社をご愛顧いただきましてありがとうございます。
今回は、信濃屋洋酒課より信濃屋プライベートボトルに関するアナウンスです。
年度末であった3月も終わり、新生活が始まる4月がやってまいりました。
今回は、琵琶湖蒸溜所 謹製の”オリジナルブレンデッドウイスキー”について
【深掘りコラム】として、少し詳しく解説させていただく記事になります。
♕ SHINANOYA PRIVATE BOTTLING on April 2025 ♙
オリジナルブレンデッドモルト 「大百足」-sherry x peat-
BY BIWAKO DISTILLERY FOR SHINANOYA & KYOTO FINE WINE AND SPIRITS
今回、川島酒造/琵琶湖蒸溜所様のご協力の下、弊社信濃屋食品とKyoto Fine Wine and Spirits向けにボトリングした特別なウイスキーをご案内いたします。
2024年に現地訪問し、滋賀県高島市にある自社熟成庫にて、2021年より追熟された輸入モルト・グレーン原酒の構成原酒の試飲を行い、使用する原酒を厳選。
その後冬の京都にて、両社バイヤーによる試飲試作を行い、日本の熟成環境がもたらす影響を感じられる二種類のオリジナルブレンドレシピを作成致しました。
ジャパニーズボトラーが手掛けるスモールバッチならではの飲みごたえやコンセプトを是非お楽しみください。
目次
経緯
京都に拠点を持つ、新進気鋭のインディペンデントボトラー兼インポーター、KYOTO FINE WINE AND SPIRITS様。
元々バイヤーの王子氏と親交があったのですが、それぞれ異なる商流やスタイルが混ざり合う事で、通常のセレクトでは起こらないような良い化学反応が生まれることがあり、お互いに良い原酒が見つかった場合などは、カスクサンプルを交換したり、共同でテイスティングを行い、時々二社でのジョイントボトルを出させて頂いております。
今回の企画は、ある時王子氏から、最近知り合いに誘われて、琵琶湖畔にあるジャパニーズウイスキーの琵琶湖蒸溜所を訪問したのだが、行ってみたことはあるか?そこの原酒がとてもユニークで面白かった。良かったら一緒に訪問してみないか。とお誘いを受けたことがきっかけでした。
どうやら、新しい蒸溜所が出来ているという噂は伺っていましたが、当時、十勝蒸溜所の設備を検討していた私にとっては、どうやらホワイトオーク材の木桶発酵槽に使用しているらしいという話を聞きつけていて、国内でもほぼ実用例が無い発酵槽を見ることが出来ると、前向きにそのお誘いを引き受けて、冬の京都へ。
琵琶湖蒸溜所について。
滋賀県高島市新旭の川島酒造さんが手掛ける琵琶湖蒸留所。
江戸時代からの続く、「松の花」を作る日本酒蔵。2023年8月から自社でウイスキー製造を開始。
私が訪問した2024年冬の当時は、一基の銅製単一蒸留器で初溜/再溜を行っています。
三宅製作所のマッシュタン/ポットスチルで、麦芽は400キロ仕込みと小ぶりな規模感です。
木桶は日本木槽木管社製で国内での唯一ホワイトオーク材のウォッシュバックを仕様。
4日半発酵→5日目に蒸留。
蒸留責任者(山田さん)とお話しましたが、蒸溜所としてはクラガンモアをベンチマークに、真摯にウイスキー作りをされていらっしゃいます。
また某有名な蒸溜所が技術顧問をサポートされており、技術的なアドバイスも定期的に受けています。
特筆すべきは、海外原酒を使用した、熟成環境の検証を自社ウイスキー製造の前に行っている点です。
自社スチルによる本製造の三年前にウイスキー製造免許を事前取得し、
既に自社でウイスキーの蒸留も開始されていますが、樽に入っていない原酒を含むモルト・グレーンの輸入原酒を購入し、自社熟成庫で熟成させています。
多くの有明産業製樽の新樽水楢樽を含む、ありとあらゆる様々なカスクで熟成させており、蒸溜所として、この場所での熟成環境の分析や樽種の見極めを行っています。
現在リリースしている商品は、自社製のウイスキーを使用したものではなく、海外原酒を自社倉庫で熟成したウイスキー(栗、桜、ミズナラ)をリリースしています。
日本産の新樽感がよくわかるブレンデッドウイスキーに仕上がっています。
ボトルには誤認しないよう、はっきりとスコットランドのウイスキーと表記がある点がポイント。
今後ブレンデッドウイスキーの幅が広がるという意味でも、自社原酒の樽をセカンドフィルとして詰める環境整備という意味でも、着実に後進の蒸溜所ならではの現実的な取り組みが感じられ、今後蒸留されていく製品を見ていくのが楽しみです。
二種のオリジナルレシピ

今回は、琵琶湖蒸留所さんによる試験熟成として、自社熟成庫で樽に入れられ、最低そこで三年以上寝かされた輸入モルト原酒の中から、一切の制限なく、自由に原酒を選ばせて頂きました。
その中でピックアップしたのが上記の7種の構成原酒になります。
翌月再び京都に戻り、KYOTO FINE WINE AND SPIRITS王子氏と『ジャパニーズボトラーが手掛けるスモールバッチならではの飲みごたえやコンセプト』が活かせるレシピを考えました。
結果として、贅沢なブレンデッドウイスキーとブレンデッドモルトを作りました。
ダイダラボッチラベル ブレンデッドウイスキー – mizunara –
こちらは、有明産業製のミズナラ新樽原酒の香味に焦点を当てたレシピ。ミズナラの新樽熟成のモルト・グレーンをふんだんに使用し、ミズナラ新樽の特徴的な香りを強く感じることが出来る、ブレンデッドウイスキーになっております。(信濃屋秋本のレシピ案採用)
オリジナルラベルは、虚空坊主氏によるもので、滋賀の妖怪でもあり、信濃屋本社のある代田が語源にもなっているディダラボッチをモチーフにしました。
<「ダイダラボッチ」- mizunara -_原酒内訳>
60%以上、ミズナラ新樽原酒を贅沢に使用したレシピです。「とある蒸溜所ととあるグレーン蒸溜所のブレンド」でモルト比率は70%以上でミズナラ樽比率55%以上。
アメリカンホワイトオーク樽原酒:28.6%
バーボンバレル原酒:14.3%
ミズナラ新樽モルト原酒:28.6%
ミズナラグレーン原酒:28.6%
香りは、ミズナラ新樽の特徴的な香りが主体的。香木の様な甘く濃厚なウッディなアロマ。八つ橋、神社仏閣のお香、新品の和箪笥や古書。シナモンやナツメグ。奥から熟した枇杷やバナナ、柚子皮の入った大根の漬物、ミントやスイカズラ。
口に含むと、ウッディな口当たりでミルクココアやチョコレート、バナナクリーム、微かに青梅。
フィニッシュは、力強く続き、アロマで感じたミズナラ新樽らしい個性がしっかりと続く。
オオムカデラベル -sherry x peat-
こちらは、オロロソシェリー原酒、アイラモルト空樽原酒を使用し、飲みごたえのあるシェリー&スモークを強く感じることが出来るモルトのみのブレンドレシピになっております。(KFWS王子氏のレシピ案採用)
オリジナルラベルは、虚空坊主氏によるもので、滋賀の妖怪である大百足をモチーフにしました。
<「大百足」-sherry x peat- 原酒内訳>
ブレンデッドモルト(とある蒸溜所の原酒のみ)
アメリカンホワイトオーク樽原酒 (13%)バーボンバレル原酒 (13%)
ミズナラ新樽モルト原酒 (13%)
オロロソシェリー原酒 (20%)
Exラフロイグカスク原酒 (40%)
香りはオリエンタルで甘い香り立ち。修繕した神社仏閣、甘口醤油を刷毛で塗った網焼き御煎餅、カルメ焼きやキャラメル、白餡、帆布、バニラ、ミント、メスカルのようなスモーキーさ。
口に含むと、焼き菓子、煎りアーモンド、メスカル、珈琲牛乳。
フィニッシュは、ローストした珈琲豆のビターネス。
商品スペック
①商品名:オリジナルブレンデッドモルト 「大百足」-sherry x peat- BY BIWAKO DISTILLERY FOR SHINANOYA & KYOTO FINE WINE AND SPIRITS
BLENDED MALT WHISKY / CASK STRENGTH : 62.7%
店頭販売価格:11,000円(税込12,100円)
②商品名:オリジナルブレンデッドウイスキー 「ダイダラボッチ」- mizunara - BY BIWAKO DISTILLERY FOR SHINANOYA & KYOTO FINE WINE AND SPIRITS
BLENDED WHISKY / CASK STRENGTH : 63.5%
店頭販売価格:10,000円(税込11,000円)
販売スケジュール:
2025年4月2日(水) 信濃屋各実店舗にて予約開始。
2025年4月4日(金) オンラインショップ販売分予約受注開始。
2025年4月11日(金) 商品発売開始。
*予約開始日前の各実店舗へのお問い合わせはご遠慮下さい。
*Kyoto Fine Wine and Spirits様でも販売予定がございます。
*各実店舗受注本数には限りがございます。予約数完売の際はキャンセル待ちとさせていただきます。
予めご了承下さい。遠方のお客様は、オンラインショップ販売をご利用ください。
信濃屋洋酒課バイヤープロフィール

株式会社 信濃屋食品 営業本部洋酒課課長 兼 チーフスピリッツバイヤー
東京都出身。20代でウイスキーの魅力に目覚め、学生時代から都内のBARやウイスキーのイベントに通う。ベンチャーウイスキー秩父蒸留所での見学がきっかけで、本格的にウイスキーを仕事にすることを決断し、㈱信濃屋食品2014年社員入社。店頭での販売員としての勤務を経て、2017年より商品開発を担当するスピリッツバイイングチームの一員として勤務。2019年現職スピリッツバイヤーになり、信濃屋プライベートボトルを中心とした商品開発を担当。十勝酒造㈱執行役員として、2025年稼働予定 十勝蒸溜所のプロジェクトに携わる。