Shinanoya food & liquor

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ワイナリー訪問記〜2023ブルゴーニュ編 part②〜@馬車道店 前田

2023.11.30

前回に続き、ワイナリー訪問記〜2023ブルゴーニュ編 part②〜を横浜馬車道店の前田がお伝えさせていただきます。今回はいよいよ、訪問させて頂いた生産者を紹介していきます。いざ!!

ピゲ・ジラルダン(ブルゴーニュ/オートコート・ド・ボーヌ/オーセイ・デュレス)

1985年設立と歴史はまだ新しく、若き生産者で注目のドメーヌへ訪問しました。コート・ド・ボーヌの中心部オーセイ・デュレスに位置し、現在11ヘクタールの畑を持ち、18のアペラシオンを所有しています。若き当主ダミアン氏は、2016年より両親よりドメーヌを引継ぎ、独自の手法でワイン造りを行います。

以前は、IT系の仕事をしながら2010年よりブドウの摘み取りのみ行っていました。ワインに興味をもちはじめ、エノロゴである母親に教えを請い、ワイン造りに専念します。独自の手法は、携帯電話一つで家にいながらスマートにワインを醸造できないか?

独自でOnafis(ウナフィス)というワイン樽専用の栓のシステムを開発し、家にいながら樽内のワインの温度管理やバクテリアの発生を感知し、アラームで知らせる設備を実施。若手らしい柔軟な発想をしています。

畑仕事を大切に、醸造は最低限しか介入しない実直な生産者です。現在は90%以上が輸出になりますが、今後は認知を広げるためにフランス国内の販売も力を入れていくとのこと。各畑の特徴を素直に表現するスタイルは、フランス国内でも需要があるでしょう。

2022年は最も良いヴィンテージのひとつで、2023年も質・量ともに素晴らしい年となったと言われていました!日本市場は弊社専売ですのでしっかりアピールしていきたいと思います。

アルゼンチンのユニフォームが似合いそうなダミアン氏。 次回は(いつかは不明)蔵の敷地でサッカーしましょう!!

ドメーヌ・デュ・フール・バッソ(ブルゴーニュ/コート・シャロネーズ)

ブルゴーニュの南、コートシャロネーズに本拠地を置くフランス国内で人気のドメーヌ。今年は、7月にグリーンハーベストの中、雹害があり苦労したとの事ですが、毎年15万本ワインを生産しています。

以前はネゴシアンにのみブドウを販売していましたが、1996年からは創始者の息子セバスチャン氏が引継ぎドメーヌに転換しました。現在では、メルキュレやリュリーなどに約28haを所有しています。代替わりしてから高品質なワインを造り続けており、特にここ数年は品質向上が著しい大注目の生産者です。

現当主のセバスチャン氏
広く清潔な醸造設備内

コロナ禍では、ワインが過剰に余り40フィートのコンテナを3本貯蓄用にまわしたが、電気の消費が凄かった!と笑顔で話されていました(笑)

今年は、アリゴテ品種に注目し生産量を増やしています。昔は酸が強く出て飲めなかったが、ブドウが完熟するまで待ってから収穫する事で、素晴らしいワインになりました。

畑は28haのうち15haが村名畑、5haがプルミエ・クリュ(1級畑)、8haがアリゴテ種になるので、見事なアリゴテ種の力の入れようが数字に表れています。今後のリリースが楽しみです!!

画家であるロシア人の奥様が描かれた絵画。テイスティングルームに調和していました。ワインのラベルも色や形も様々なバリエーションを用意して、お客様がすぐ思い出せるようなラベルを作っていきたいと意欲的に話されていました。

2022年のACブルゴーニュはすべて完売し、前進を続けるフール・バッソ。往年のランディ・バースと重なります(笑)

テイスティングの最中、誤ってグラスを破損してしまいました!申し訳ございません!そんな粗相をしたにも関わらず、300本限定生産の「メルキュレ 1er ブラン[2019]」をサンプルに頂いてしまいました。いつか改めて御礼をしたいと思います!

ドメーヌ・ピヨ(ブルゴーニュ/コート・シャロネーズ/メルキュレ)

華やかなコート・ドール地区に比べて地味な印象のあるコート・シャロネーズ地区ですが、実はあまり世に知られていない隠れた優良生産者が多い地域でもあります。

メルキュレにも、これから有名になるであろう生産者が多く控えています。ロバート・パーカーが5つ星をつけたフェヴレも早くからメルキュレのポテンシャルに目をつけていました。

そして今回、150年の歴史を持ち、弊社でも人気銘柄となった注目の生産者をいざ訪問!

現当主のロマン氏
設備も一新された圧巻のテイスティングルーム

畑はメルキュレ村を中心に17ha所有。生産本数は約3万本。約150年前から続くメルキュレを本拠地に置く家族経営の老舗ドメーヌ。最近、父のローラン・ピヨ氏が引退しました。今後は6代目のロマン・ピヨ氏と弟のシモン氏の二人で運営するため2023年よりラベルの名前表記が変わります。

新当主ロマン氏は、フランス国内や海外で多くの修行を積み、新しい技術を取り入れ品質の向上に努めています。また、94歳の祖父は未だ現役でドメーヌの2haを担当しており、ロマン氏曰く、死ぬまで働いてもらうつもりとの事でした(笑)

メルキュレは他のブルゴーニュの地区と同様に寒暖の差が激しく、大陸性気候の影響を受けます。収穫期の天候が変わりやすく、そのためワインの出来はヴィンテージに大きく左右されます。

テイスティングルームにて試飲

泥灰土と泥灰石灰質土壌でニュイ・サン・ジョルジュ村の土壌続きであると言われています。それもあってか、ピノ・ノワールに力強さを感じます。改めてここのピノは安いし美味い!

ここで前田おすすめマリアージュ!!

ドメーヌ・ピヨ  ブルゴーニュ・ルージュ [2021]とブリ大根。

意外とブリ大根が好相性と思います。魚の複雑な風味を持った出汁の旨味と、複雑味が出てきたワインの味わいが調和します。ぜひお試しください!!

そしてAOCブルゴーニュの畑は、メルキュレのプルミエ・クリュ(1級畑)に隣接したわずか1haの区画で、樹齢60年、年産5,000本のみの限定品。これを今の時代2千円台で買えるのは奇跡的です!

そして現地で楽しまれている料理は、ブルゴーニュの郷土料理の一つであるコック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)だそう。それ食べ忘れた!( ゚Д゚)

元々、由緒ある歴史を持つ生産地であり、近年は挑戦的な若手生産者も出現していますが、今後の動向に注目していきたい期待の生産者である事は間違いありませんでした!

ドメーヌ・デヴィーニュ(ブルゴーニュ/コート・シャロネーズ/ジヴリ)

かつて16~18世紀にはボーヌ地区のワインと同等として扱われ、ブルボン王朝初代国王アンリ4世のお気に入りワインの一つとされたジヴリ。コート・シャロネーズ地区のメルキュレの弟格とも評されます。

ドメーヌ・デヴィーニュは、ジヴリの地で1870年から5世代続く老舗の家族経営で10haの畑を所有。エリック氏は、ボーヌでワイン造りを学び幾つかのワイナリーでインターンを務めた後、ドメーヌに入ります。父親からワイン生産の経験と伝統的なノウハウを学び、1998年にドメーヌを引き継ぎました。畑は、暑い夏と寒い冬の特徴がはっきりした大陸性気候の影響を受け、土壌は、褐色石灰岩と粘土石灰岩。

エリック氏の息子であるゴーティエ氏

デヴィ―ニュの原則は、ジヴリの典型的なワイン。土地の特徴を出し、果実のすべての表現と香りを優先することです。しっかりとした豊満な赤ワインと、生き生きとしたフレッシュな白ワインたち。

赤ワインは、南部の特徴である赤系果実のジャムのようなアロマがあり、特有のスパイス感もしっかりありました。石灰岩土壌の影響があり、力強いボディ感というより、軽やかで繊細な味わいが特徴。酸味の高さはあまり感じないので、柔らかい印象があります。メルキュレと比べると優しいタッチで、香りがしっかりあり、ピノ・ノワールの魅力を存分に感じられるワインとなっています。

はじめは、硬い表情でどこか威圧感のあるカントナ風のゴーティエ氏でしたが、日本のアニメが好きで、テイスティング時は、ワインよりアニメの話題が中心に(笑)2022年、2023年ともに素晴らしいヴィンテージとなり、特に2023年は大量にブドウの実が付いたのでグリーンハーベストを行い、難しい年でしたが、結果は良かったと言われていました。

新しいトラクターも購入し、勢いが増すデヴィーニュ。次回は、弊社が買えなかったキュヴェも出すと言ってくれましたのでリリースが楽しみです!近い将来、来日を予定しているとの事で来られた際は秋葉原あたりをいっしょに散策しましょう♪

最後に…

ブルゴーニュ全域では、じつに4000軒以上のドメーヌが存在するそうで、これからも数多くの素敵な出会いが待っています。

素晴らしいワインが出来るには、土壌など、様々な要素が必要ですが、何よりも人々が日々の努力と手間により生みだされる事を改めて実感しました。

思い出すのは、新入社員当時のブドウなど果実を卸販売する営業職。売り込み、利益を出すための価格設定、商品確保、目まぐるしい毎日に追われていましたが、生産者の腕と情熱、仲買人や量販店の目利きに驚きました。

良い商品の裏に良い生産者あり。最も大切にしたのは、生産者です。その生産者は土壌環境を最も大切にする。聖地ブルゴーニュも良いものを造る条件は同じですね。そして、ブルゴーニュで重要な言葉がテロワール。

ブルゴーニュというテロワールだから素晴らしいワインができるという考え方で、天候、土壌、造る人、によって、ワインの味わいが変わると。尊敬する生産者の天・地・人の精神を少しでも体験できたと思います。また、実際に視察する事で新しい原点を刻むことができました。

心豊かな素敵な生産者の方々との出逢い、郷土料理の素晴らしさ、日本では味わえない貴重な体験を皆様ありがとうございます。Merci infiniment(メルシーアンフィニモン!)

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