Shinanoya food & liquor

ウィスキー・ハードリカー・ワイン・こだわりの食品の情報をお届けします。

ワイナリー訪問記-イタリア出張編part②-@虎ノ門cask 川上

2025.03.16

今回のブログ担当者は…?

前回に続き、虎ノ門caskの川上がワイナリー訪問記-イタリア出張編-をお届けいたします今回は、カステラーニの現当主ピエル・ジョルジュ氏の案内で【テヌータ・ディ・ブルギーノ】と最近購入された新しいワイナリー【テヌータ・ディ・モンテフォスコリ】をご案内いただきました。

テヌータ・ディ・ブルギーノ訪問

ブルキーノはテリチョーラ村に約200年前から歴史がある老舗ワイナリーで約180年前からカステラーニ家が所有しています。最初に案内いただいた場所はブルキーノが1880年代から所有するワインの熟成庫にご案内いただきました。

  • ゴヴェルノ・アルーゾ・トスカーノ [2022]

若々しく、果実の凝縮感がダイレクトに楽しめる1本。グラスに注いだ瞬間から、ラズベリーや熟したブラックベリーの甘い香りが広がり、ほんのりスパイスが効いているのが印象的。口に含むと、しなやかで滑らかな飲み心地。果実の甘みと酸のバランスがよく、飲みやすさがありつつも、しっかりとしたボディも感じられます。余韻は比較的長めで、親しみやすくも品のある味わいです。

  • ブルキーノ・トスカーナ I.G.T. [2019]

12ヶ月の樽熟成がしっかりと感じられ、果実味に奥行きと複雑さを加えています。熟したチェリーやプラムのアロマに、バニラやトーストのような樽の香ばしさが混ざり合い、香りの段階からすでにリッチな印象。味わいは丸みがあり、タンニンも滑らかで心地よく、果実とスパイスの調和が取れています。余韻にはほんのり甘みとスモーキーなニュアンスが残り、時間をかけて楽しめる1本です。

  • ブルキーノ・トスカーナ I.G.T. [2010]

先ほど上げた防空壕の中で14年の熟成を経たワインだけあって、香りも味わいも格段に複雑で洗練されています。ドライフルーツやブラックチェリーのニュアンスが濃密に感じられ、スパイスやリコリスの深みのある香りが広がります。樽熟成の影響もよく溶け込み、バニラやシガーボックスのような熟成香が心地よいです。口当たりは非常にシルキーで、酸とタンニンのバランスが素晴らしく、余韻が非常に長く、ほのかに土っぽさやトリュフのような熟成のニュアンスが残るのが印象的。時間の経過が生み出す複雑な味わいをじっくりと楽しめる1本となっておりました。

  • 総評

3本ともサンジョベーゼ主体ながら、熟成期間と製法の違いでまったく異なる表情を見せてくれるのが面白かったです。若々しい果実感のある2022年、樽熟成による奥行きのある2019年、熟成の妙を感じる2010年と、それぞれの魅力が際立っていました。どれもバランスが取れていて、それぞれのタイミングで楽しみたくなるワインでした。

神の畑

場所を移動し【神の畑】と呼んでいる畑をご案内いただきました。その土壌には姿そのまま貝の化石がごろごろしており、日本の貝塚を思わせるほどの量が堆積しており、まだ苗を育成している段階でしたが見たこともない土壌に驚きを隠せませんでした。

この土壌で作物を育てると、ほとんど手放しの状態で育てても最高のポテンシャルを発揮し素晴らしいものができるとおっしゃっておりました。

テヌータ・ディ・モンテフォスコリ

次に案内していただいたのは、モンテフォスコリはカステラーニ家に一番最近加入したワイナリー。場所は、トスカーナ海岸の最も内側にあるエリアの1つであるピサンヒルズの最東端に位置し、パライア自治体の境界内にあります。

1922年にタバコを乾燥させるために建てられた建造物を、建築要素を維持したまま修復作業を経て、現在では醸造設備を収容しております。ワイナリーの周りには6区画で分かれており45ヘクタールある広大なブドウ畑を所有しております。

ブドウ栽培に関しては海とキャンティ・クラシコの中間に位置し、その地理的特性がワイン造りに独特の影響を与え、赤はサンジョヴェーゼを主体とし、白ブドウはヴェルメンティーノを中心に、ティレニア海を望む畑で栽培されるヴィオニエやプティ・マンサンにも注力しています。

テイスティング

  • コスタ・トスカーナ I.G.T. ヴェルメンティーノ[2023]

低温での短時間マセレーションとフリーランジュースの使用により、フレッシュでピュアな果実味が際立ち、アンフォラ発酵による豊かなミネラル感と、わずかにスパイシーなニュアンスが加わり、ステンレスタンク発酵由来のクリーンな酸とともに、バランスの取れた味わいに仕上がっておりました。

口当たりは柔らかく、柑橘類や白い花の香りが広がり程よいボディ感と滑らかなテクスチャーが感じられ、フィニッシュには、アーモンドやハーブのニュアンスが心地よく残り、上品な余韻を楽しめるワインです。

  • コスタ・トスカーナ I.G.T. ビアンコ[2023]

品種構成は、ヴェルメンティーノとヴィオニエ、プティ・マンサン。フレンチオークの新樽で発酵させることで、豊かな果実味とほのかなバニラやトーストのニュアンスが加わり、まろやかで奥行きのある味わいになっており、口当たりはクリーミーで厚みがありながらも、ヴェルメンティーノ由来の柑橘系の爽やかさと、ヴィオニエの白い花やアプリコットの華やかな香りが感じられます。一方で、プティ・マンサンはステンレスタンクで発酵されているため、フレッシュな酸とミネラル感が引き立ち、全体のバランスを整えられておりました。

最終的に、アンフォラで熟成されることで、テロワール由来のミネラル感やスパイスのニュアンスが加わり、フィニッシュには塩味を思わせる繊細なニュアンスと、長い余韻が楽しめる上質な白ワインに仕上がっておりました。

  • トスカーナ I.G.T.[2022] ※サンジョベーゼ

果実味とともにしっかりとしたミネラル感が感じられ、ワインは深い色合いと豊かなアロマを持ち、口に含んだ瞬間に力強いタンニンとフレッシュな酸が感じられました。

マロラティック発酵を経た後、フレンチオークのバリックで熟成されることで、バニラやトースト、軽いスパイシーさが加わり、さらに複雑さと丸みを持つ味わいが広がります。その後ワインは樽で12ヶ月間熟成されるため、バランスの取れた味わいに仕上がっておりました。

全体として、フレッシュでありながらも豊かな果実味、しっかりとしたタンニン、スムーズなオークの風味が一体となり、長い余韻が楽しめる洗練された味わい。

まだ弊社では入荷していないワインですが、入荷した際には是非とも皆様に味わってほしいワインです!!

カステラーニ本社

見学を終え、最後にカステラーニの本社へご案内いただきました。ここはカステラーニ家が所有する7つワイナリーの瓶詰め、梱包、国内や海外への発送。そしてラベル製作を担っているところです。

私自身5年ほど前に勝沼のワイナリーに努めていた経歴があるのですが、その時と比べるとおこがましいですが200年の歴史があるカステラーニの本社はワイン保管のコンテナもとてつもなく広く、瓶詰めされるのを待っているワインタンクも巨大で圧巻の規模感でした。

その中でも一番驚いたのがワインのラベル印刷を本社の中でやっていることです。驚きの理由は、なんと職人の手作業で一枚一枚活版印刷仕上げていたこと!!寸分の狂いのない繊細な技術で仕上げられるラベルは目を見張るものでした。

さいごに…

イタリアの風土と情熱が生み出すワインを、こうして実際に訪れて、造り手の思いを感じながら体験できたことは、私にとってとても貴重な経験となりました。カステラーニ家のワイン造りは、伝統を大切にしながらも、時代の変化に柔軟に対応する姿勢が印象的でした。

それぞれのワイナリーが持つ独自のテロワールを尊重し、その個性を最大限に引き出したワインは、まさにその土地の味わいそのものであり、飲むたびにその土地の風景や情熱を思い起こさせてくれます。

日本でカステラーニのワインがどのように楽しめるか、これからも多くの方にその魅力を伝えていきたいと感じました。イタリアから帰国した今、さらにワインへの愛情と敬意を新たにし、これからも皆さんと共にワインの素晴らしさを味わっていけたらと思います。

最後に、今回の貴重な体験を通して改めて感じたことを、虎ノ門caskにご来店いただいた皆さまにお伝えできることを楽しみにしています!!

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