Shinanoya food & liquor

ウィスキー・ハードリカー・ワイン・こだわりの食品の情報をお届けします。

ワイナリー訪問記〜2023ブルゴーニュ編 part④〜@目黒店 柴野

2023.12.17

4回分けてお届けしたワイナリー訪問記〜2023ブルゴーニュも今回が最後になります。前回に続き、目黒店の柴野がお伝えさせていただきます。今回は、私自身初めて訪れるシャンパーニュからお届けします。

ファニエル・エ・フィス(フランス/シャンパーニュ)

朝からドキドキが止まりません。早起きでボーヌから車で向かうこと約3時間。遂にやって来ました!シャンパーニュ地方のヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区。

車を降りたった瞬間、フランスのワイン産地でも北限近くに位置するためか、やはり少し肌寒さを感じました。素晴らしい景色、澄んだ空気がとにかく美味しい!

シャンパーニュ地方には約3300haの畑があり、世界の13%ものスパークリングが造られています。シャンパーニュ全体で約7000件のワイナリーがあり、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区のあるレンヌ圏で700件あるとの事。

今回最初に伺ったのは、ファニエル・エ・フィス。モデルのような高身長の当主、マチューさんが笑顔で迎えて下さいました。ブドウの栽培からシャンパーニュ醸造まで全て自身で手がけるRM(レコルタン・マニピュラン)生産者です。

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区はエペルネに近いところはチョーク質、ワイナリーの付近は砂質の上に粘土質の土壌。砂が多いと水捌けが良くて凝縮した味わいになり、このように多種多様な土壌を生かし、様々な酒質を造ることが可能となります。

ブドウは全て手摘みで収穫されます。圧搾機は最高級の物を使用しているそうで、価格はなんと2000万!圧搾機のロールス・ロイスと言われているそうです。最大4000キロのブドウを通常の2倍もの時間をかけゆっくりと搾汁する事で、ブドウ本来の風味を残すことが出来るとの事。

2023年はシャルドネとムニエ最高の年だとマチューさん。今から楽しみですね♪

圧搾機の説明をするマチュー氏
発酵槽。ブドウ品種、区画ごとに発酵
このタンクでアルコールと二次発酵も行う

樽熟成のワインやボトリングされたシャンパーニュは、地下カーヴで熟成されます。この地下カーヴは1673年(350年前)から少しずつ家族で拡張しながら作られました。350年前と言えば、日本は江戸時代の江戸幕府5代将軍「徳川綱吉」の時代!歴史の長さを感じずにはいられません。

地下カーヴの壁を見ると、沢山の化石(貝殻)を見ることが出来ます。かつて海の底であった事が解ります。

地下カーヴでは沢山のボトリングされたワインが貯蔵され、ワインに影響が出ないようオレンジのライトを使用するこだわり。

熟成庫には1673年の刻印
貝の化石

また、マチューさんが修行していたシャトー・ラトゥールの古樽を購入し、熟成に使用しています。コトー・シャンプノワやロゼの樽として使うそうです。ブレンドは15ヶ月、単一品種のものは最低でも 3年熟成しているこだわり。

瓶内二次発酵を終えたワインは、ジャイロパレットに詰められます。4時間に一回角度を変え、約5〜7日で瓶口に澱(おり)が集まり、デコルジュマン(澱を取り除く作業)を行います。

ジャイロパレット
瓶口に澱(おり)が集まった様子

フラッグシップの「レ・セクレ・ダンドレ」は、その年の最高のブドウを使用するので、年によって使用するブドウの比率などスペックが変わるそうです。年によっては単一で造られたり、アッサンブラージュであったりします。

最後に沢山のラインナップを試飲させて頂きましたが、一番興味深かったのは、フラッグシップでもある、「レ・セクレ・ダンドレ」の王冠熟成とコルク熟成の飲み比べ。しっかりと違いが出ておりました。

コルク熟成の方が、泡もきめ細かく味わいも柔らかい印象でした。こんな貴重な経験をさせて頂いた事に心から感謝です。

テイスティングの様子

レベック・デュハン(フランス/シャンパーニュ)

次に伺ったのは、レベック・デュハンこちらはRC(=レコルタン・コーペラトゥール)のスタイル。レベック・デュハンの場合で説明すると…自分の畑で収穫したブドウを協同組合に持ち込み、組合の醸造機器を使用して自身のブランド名で販売している形態をRCと呼びます。

ファニエル・エ・フィスと同じヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区にあります。5.5haの畑を所有し、生産量の90%がフランス本国で消費される高品質なシャンパーニュを造る生産者です。

ご両親(父エリックさん)と5代目にあたる2人の娘さん(エレーヌさん、今回ご不在のマリーヌさん)の家族経営です。

シャンパーニュで造られるブドウ品種と言えば、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種と思われがちですが、実は使用が認められている品種があるのはご存知ですか?

上記3品種の他に、古代品種のアルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ系品種のピノ・グリ、ピノ・ブラン。そして2021年にAOCシャンパーニュの認可ブドウとしてヴォルティスという新品種も認められたとの事。

今年、ドラピエがAOCシャンパーニュで使用が認められている上記8品種すべての栽培を始めたと話題になりました。

話がそれてしまいましたが、この地域のヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区はマルヌ川を挟んで、右と左で土壌が違い、その特徴を活かしワインを生み出しています。

マルヌ川左岸にある北向きの畑はシャルドネ100%のシャンパーニュ「ウバック ブラン・ド・ブラン ブリュット」

マルヌ川右岸にある南向きで日当たりの良い畑はピノ・ムニエを主体にピノ・ノワールとシャルドネのブレンドした「アドレ・ブリュット」レベック・デュハンはパリからは1時間程。

ご家族でワイナリーツアーも行っているので、是非フランスにいらした際は訪問してはいかがでしょうか?

カーヴ・ド・ヴィレ(ブルゴーニュ/マコネ)

別日には、ブルゴーニュ/マコネ地区の弊社でも人気の協同組合のカーヴ・ド・ヴィレを訪ねました。17人の従業員、250haの畑、1万8千hlものワインを生産しています。

97%が白ワインを生産し、1haのピノ・ノワールはすべてクレマン用との事で、すべて白を生産しています。今回、伺ったどこよりも大きい規模に驚かされます。

600hl以上も入る大きなタンクが何本も…
発酵槽は建物の3階部分まであります
沢山の圧搾機
日本製の高機能フィルターも導入する徹底ぶり
瓶詰めされたワイン
段ボール詰めされたワインをパレットに積む様子

すべて厳しい管理体制で造られていました。何度も書いてしまいますが、とにかく規模が違います!

信濃屋でも長く取り扱いさせていただいている「カーヴ・ド・ヴィレ クレマン・ド・ブルゴーニュ シャルドネ BRUT」。安定の美味しさの理由を確認しました。

まだ飲んだことのない方には是非一度飲んで頂きたい、ハイコスパなクレマン!

減農薬で栽培した南ブルゴーニュのシャルドネ100%使用。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵によるキメの細かいクリーミーな泡。青リンゴを思わせる爽やかでピュアな果実感とキレが心地よい、ハイコスパな泡。

日本のワイン専門誌『ワイン王国』でも最高評価の5ツ星を獲得しており、ロンドンの有名高級百貨店『ハロッズ』の御用達ということも高品質の証です。和食にも合わせやすく、シャンパーニュ好きも満足できる一本です。ぜひお試しください!

最後に…

ワイン生産者を訪ねる度に、造り手の情熱やその土地の素晴らしさをヒシヒシと感じそれが全てワインの味わいへと繋がっていくのだなと体感できます。

それを日本で販売させていただいている私どもは、造り手の想いをお客様へと繋げる大切な仕事なのだなと改めてやりがいを感じております。

今後もより一層、造り手の思いの橋渡しが出来るよう、日々学んでいきたいと心から思うのと共に、今回お会いした全ての方に感謝してブログを締めたいと思います。ありがとうございました。

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